第2章 買い出しと再会
「え」
「方向、音痴……?」
ば……ばらしやがったーーー!!!
影山に秘密を暴露された私も影山同様、顔面蒼白状態だ。
せ、折角今年の一年にはばれてなかったのに、何してくれてんだコイツは……!!
「え……ちょ、影山!?」
「学校とか日常的に行く場所なら迷わないのに、今日みたいな殆ど行かない場所だとぜってー迷うんだよ湯野先輩は!!」
「ちょっと」
「近場のコンビニ行ったはずが何故かペットショップの前に居たり!!」
「かげや」
「市立運動公園での大会時に湯野先輩が居ないって騒ぎになって、何処に行ったのかと思えば、隣の市の市立運動公園に居たって……意味わかんねーよ!!どうしたらそうなるんだよ!!」
「……」
影山の悲痛な訴えが、容赦なく私の心をザクザクと抉ってくる。
そして、既に息も絶え絶えな瀕死状態の所に、とどめのように突き刺さる三対の視線。……おぅふ。
とてもじゃないけど、その顔を直視することはできなかった。
「こ……こんのドアホ!バ影山!!何でばらすの!!どうしてくれんのさ!?先輩の威厳形無し所じゃないよ!!地に落ちたわ!!寧ろ勢いあまって地中に潜ったよ!!」
確かに!影山の言う通り……まぁ、たまに?極稀になんだけど道に迷うこともあるよ?
それで結構皆に迷惑かけたこともあるし、多少は自覚もしてるけど!
過去の失敗をそんな赤裸々に後輩たちに暴露しなくたって……!
頭を叩きたくても手が届かないため、代わりにボカスカと影山の背中を涙目で殴ってみる。
が、大したダメージもなさそうに「あ、すみません」と謝られた。
くっそ、この巨人め……!いつか駆逐してやる……!
如何にしてこの高身長を削ぐべきか算段を立てていると、山口が苦笑いした。
「……あー、うん。それは確かに一人で知らない所に出掛けようとしてたら慌てるね……」
「携帯の充電が切れて連絡さえつかなかった時なんか、あの人完全にブチキレて手がつけられなくて……」
「あの人?」
「青城との練習試合の時に居ただろ。及川さん」
不意打ちの形で聞こえた名前に、思わず体身体が固まった。