第6章 月曜日
――もう、信じても良いのだ。
放されることを怯えて、伸ばされた手をいつでも放せるくらいの力で加減しなくても。
ただ、信じてしっかり握り締れば良いだけだと。
ぐすぐすと一通り泣いたあと、私は未だに及川に威嚇する麻子にゆっくりと言った。
「……ありがとう、麻子。でもね、大丈夫。今は及川と付き合ってないから。ただの元カレ。及川が一方的に絡んでくるだけだから」
「…………え」
麻子は唖然とした表情で固まり、やがて頬を赤く染めた。
「え?うそ?元カレ?私の勘違い?……うわぁぁあ!!は、はずっ!超恥ずかしい!!」
「ううん、ありがとう。本当に嬉しかった」
「そういわれたら尚更はずか死ぬ……!!ごめんね、さら!!」
「良いよ、そんなの。こっちこそ心配かけてごめん。お詫びに何か奢るよ」
「奢り!?じゃあアイス!ショッピングモールに新しくオープンした所が美味しいらしいよ。行っちゃう?まだ志乃も校舎に居るみたいだから誘ってさ」
「行こう行こう!私丁度ショッピングモール行くつもりだったの!服が見たくて」
「……え、さら一人で行くつもりだったの?迷うよ?」
「もう、麻子ったら!」
和気藹々と志乃を呼ぶために校舎へ戻っていく私と麻子。
その背中へ、途中から完全に空気と化していた及川が、恐る恐ると言ったように声をかけてきた。