第6章 月曜日
麻子は、私のことを心から心配してくれていた。
そんな麻子の真意を勘違いして、勝手に裏切られたような気分になっていた自分が情けなくて。
――何より、恋より私を選んでくれたことが嬉しくて。
「うぅっ……麻子……っ!」
「え、さら!?な、泣かないでよぉ!私も貰い泣きしちゃうから!」
「私涙腺弱いんだから!」と、既に涙目で背中を撫でてくれる麻子にしがみついて、彼女の肩を涙で濡らした。
――傷付いて、これ以上傷付きたくなくて。
あの一件以来、私の友人関係は根底で何処か一歩引いている所があった。
私より、恋を優先されて当然だと。裏切られても仕方ないと、最初から諦めていた部分もあって。
勿論、中学の彼女のように、嫉妬から友人関係を覆して、極端に恋のみを選ぶことだってある。
――だけど、そうではない。決してそれだけではなかった。
麻子のように、恋を捨ててだって、友情を選んでくれることもある。
中学時代、色んな女子の嫉妬され疎まれようと、変わらず一緒に居てくれた子も居る。
多くの時間を過ごし、悔しさや喜びを共有し、性別を越えて絆で結ばれたバレー部員たちだって。
彼らはきっと、いや、絶対にどんな時だって私を見捨てないだろう。
裏切りに怯える必要のない、心から信頼できる友人たちが、私には居たのだ。
私が臆病だったから。
完全にはそれを信じきることができなかっただけで。
でも、麻子が当たり前のように私を選んでくれたことに気付いた瞬間に、やっと吹っ切れた。