第6章 月曜日
「ねえ!及川くんって中学どこ出身?」
「うーん、何処だと思う?」
「えー、何処だろう?……北川第一、とか」
「お、凄い。だいせいかーい!」
「本当!?やったー!……そういえば、私の友達に湯野沙々羅って子が居るんだけど、その子も北川第一出身なんだよね。及川くん、知ってる?」
「あー、沙々羅ちゃんね。勿論だよ。バレー部のマネージャーだったし」
「へえー……じゃあ結構仲良かったりするの?」
「そうだね。今でも連絡取り合ったりするよ」
ヤバイ、これ勘づいてるなんてレベルじゃない……!!
どういう訳か、麻子は及川が待っている相手が私と踏んで、及川に鎌をかけまくっているらしかった。
何でだ。
何処で怪しいと思われた。
記憶を辿れば、程なくして理由に思い当たる。
月曜日の昼休み。
及川の話題になった時の私の反応は、確かに疑ってくれと言わんばかりに不審だった。
うわあああ、私の馬鹿……!
過去の自分を詰り、頭を抱える。
今のところは及川の当たり障りない返答で回避しているが、いつボロが出てもおかしくない。
事実確認なら私に直接すれば良いのに、わざわざ及川に鎌をかけるなんて、一体何がしたいの、麻子……!!
「そっか、仲良いんだね」
「うん、ちょー仲良し。でも、沙々羅ちゃんにそんなこと言ったら蹴られちゃいそうだけど」
「蹴るの?さらが?」
「沙々羅ちゃんはツンデレさんだから」
……誰がツンデレだ!!
今すぐ出て行って、お望み通り蹴りを食らわせてやりたい。麻子や女子のいる手前、実行出来ないことが口惜しい。
しかし、いつまでもこのままという訳にもいかない。
どうするべきか。
相手が私だとバレて、女子から恨みを買うのはごめん被りたい。麻子には既にバレてるみたいだけど。