第6章 月曜日
※顔文字注意。
『沙々羅ちゃんヘルプミー(´;ω;`)』
「…………」
水曜日。及川を蹴り倒した月曜日から二日後のこと。
今日は烏養コーチの計らいで、連日厳しい練習をこなす選手たちの身体を休めるために、部活は休み。
電車で三十分ほど先にあるショッピングモールに買い物に行こうと考えた、その矢先。某コミュニケーションアプリの通知である。
その前には、
『今日烏野部活休みだよね??』
『うちも体育館の照明の不具合で休みになっちゃった(´・ω・`)』
『練習できないのは残念だけど、月曜日以外に沙々羅ちゃんにあえるのは嬉しいなぁ(*≧∀≦*)』
『どっか遊びに行こうよ(*´∇`*)今から迎えに行くね(^3^)/』
『人多いから裏門前に居るよ~(^o^)v』
何分か置きにメッセージが送られてきている。
顔文字だらけのきゃぴきゃぴしたメッセージの送り主は案の定及川である。顔文字が妙に可愛くて、女子力高いのが腹立つ。
因みに私は及川に新しい携帯番号もIDも教えた覚えはない。
再会してから数日後、及川から怒濤の通知が来る数分前に送られてきたメッセージ。
『湯野先輩、先に謝っておきます』
『ごめんなさい』
『PS.春季限定塩キャラメルうまうま』
これが全てを物語っているけれど。
国見め……!!物で買収されやがって……!!
今年度青城に進学したやる気の欠如した後輩の裏切りにより、及川からのメッセージを毎日何回も通知するようになった私のスマフォを握り締め、目の前の惨状を睨みつける。
「今日部活休みなんだー。どうせ遅くまで来ないんでしょ?どっか遊びに行こうよ」
「はーいカラオケが良い!及川くん歌聞きたーい」
「バレー部なんですよね?今度試合の応援行っても良いですか?」
「あ、私も行きたい!!」
「ライン教えて下さい!」
甘ったるい声をしきりに上げて少しでも気を引こうとアピールする狩人たち……もとい数名の女子生徒と、彼女らに囲まれる獲物……もとい及川。
「今日は約束あるから。歌はまた今度ね。試合は是非応援に来てくれると嬉しいな。ラインはヒ・ミ・ツ。代わりと言ってはなんだけど、ツイッターならどうぞー!」