• テキストサイズ

【HQ!! 】ラブミーギミー

第6章 月曜日




「沙々羅」
「…………」
「おーい、沙々羅」
「…………」
「沙々羅ちゃーん」
「…………あぁ、もう、うるっさい!!」

 ちらちらと向けられる視線に耐えきれなくなり、怒鳴りながら振り返る。

 鬼のような形相で振り返ったにも関わらず、私の名前を呼びまくり、周囲の視線を集めていた及川はぱっと表情を明るくした。

「あ、やっと振り向いてくれた」
「アンタがうるさいからよ!で、何なの、何か用!?」
「何でそんなに喧嘩腰なの?あんまりカリカリしてるとお肌に悪いよ。はい、スマイルスマイルー」
「…………」
「ごめんごめん頼むから耳引っ張るの止めて!!」

 ぱっと手を離すと、及川は右耳を押さえて「沙々羅ちゃんの愛が痛い……」などと、ふざけたことを抜かすため、踵を蹴る。

「いった!?……どうしたの?なんか今日はいつにも増してご機嫌ななめだね」
「……誰のせいよ、誰の!!」
「え、俺?」

 キョトンとした表情で自分を指差す及川。 無駄に高い位置にあるそれにぐっと詰め寄り、据わった目ですっとぼけた顔を睨む。

「女子の間で毎週月曜日に他校からイケメンが来るって騒ぎになってるの!」
「あー、なるほどね。それでイケメン及川くんが待ってる女って誰!?って皆が血眼になって探してる……ってとこかな?」

 察しが良いに越したことはないけれど、イケメンを否定しない辺りが無性に腹立つ。

「友達にまで『及川くん迎えに来させて待たせるって有り得ない』とか言われたのよ!?ショック受けてたら怪しまれて詮索されるし、何よりメロンパン食べ損ねたし!!」
「結局メロンパンなんだね。あとで食べれば良いじゃん」
「馬鹿及川!!すず屋メロンパンのあのサクサクふわふわ食感は昼までしか味わえないのよ!!」
「うんうん、そっかごめんねー。及川さんが今度買ってあげるから怒らないで。ね?」
「オニオンチーズブレッドと特製ミックスジュースも付けなさいよ」
「……俺、沙々羅ちゃんのそういう強かなところも好きだなぁ。じゃあ二週間後の日曜日に十時に迎えにいくね」
「遅れたらしばく。……って、ちがーう!!」

 ちゃっかり出掛ける約束を結ばされたけれど、ひとまず脇に置いておく。

/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp