第6章 月曜日
※オリキャラいます。
「ねー、さら」
「んー、何?」
「青葉城西高校の及川くんって知ってる?」
「ぶっふ!?」
午前中の授業を終えた解放感と、生徒たちの賑やかな声に包まれる昼休み。
ざわつく教室で、いつも通り友達二人と机をくっつけて昼食を食べていると、笹沼麻子の口から思わぬ名前が飛び出してきて、盛大に噎せる。
「さらちゃん!?大丈夫!?」
「ゲッホ……う、うん。ごめん、大丈夫」
古嶋志乃におろおろと背中を擦られ、なんとか気管に詰まらせかけたパンを飲み込む。
志乃が垂れ気味の眉をさらに垂れさせて心配してくれる一方で、麻子は友達が噎せたことよりも、その名前に対する私の反応が気になって仕方ないらしい。
「大丈夫?」なんて言ってるけど、その目は期待に輝いている。薄情者め……。
「バレー部って言ってたから、もしかしたらさらならーって思ってたんだ!ね、ね、他校なのに知ってるってことは、及川くんってやっぱバレー強いの?」
「……結構。県内ベスト4チームの主将だし」
「すっご!!イケメンで運動もできるとか、及川くんマジ最強じゃん!マンガのヒーロー!?」
はしゃぐ麻子の口振りは、まるで件の人物を直接知っているかのようだ。
……嘘でしょ。
段々と顔色を悪くする私の隣で、何も知らない志乃が麻子に言う。
「及川くんって、だあれ?有名人?」
「あ、知らない?青葉城西の及川徹くん。最近月曜の放課後になると、うちの学校に来るんだよね。すっごいイケメンで、超優しいの!」
「今日来るから、志乃もさらも一緒に行こうよ!マジ惚れるから!」と、麻子は興奮気味に語る。
「青葉城西って、一駅先の私立だよね?放課後に何しに来てるの?」
「人待ってるんだって。彼女じゃないって言ってたけど、あれ絶対女だよ……。ショックだわー……」
「あはは……仕方ないんじゃない?そんなにカッコいい人なら」