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狢(銀魂:銀時夢)

第1章 狢


「貴方があやめを抱かないのは知ってる。だって貴方と私は、同じ穴の狢でしょう?」

 沈黙が部屋を満たす。「同じ穴の狢」とは、何を示しているのか。普通ならばこんな頭の悪そうな女と共通点など誰も持てないだろう。けれど銀時は女の言う意味が分かったのか、頬に冷や汗を一つ流した。

「貴方は女も抱けるけど、本命は男のはずよ。全蔵を吐かせたわ。六股かけたドッキリ、長谷川泰三だけは本当に抱いたんでしょう。」

「……っ抱く訳ねーだろ! 気色悪い事言ってんじゃねえ!!」

「自分に嘘を吐かなくて良いのよ? 大方、攘夷戦争の時にでも男色に目覚めたんでしょう。よくある事よ、恥ずかしがらないで。白い目で見られる事も多いけど、レズとかゲイとか、昔も今も変わらず世の中に受け入れられてるじゃない。」

 まるで離ればなれになった恋人と再会したような目で見つめながら、甘い声で女は銀時の暗部を容赦なく抉り出した。

 あのドッキリは実に全力で抹消したい記憶である。銀時は内心、長谷川一人に対して五人もの女に手をかけた事に安堵していた。手を出した順番を全蔵から聞けば、長谷川は最後の被害者だったのも幸いだった。己が男色家である事実は隠したかったのだから、大量の酒で理性も何もなく、唯単に性欲を吐き出したかったと誤摩化せる。まさか五人も女達の相手をするとは思わなかったが、男に走らず、まず女に手を出した自分を褒めていたくらいだ。長谷川を襲ったのは間違いであり、意識がはっきりしている自分はストレートである事を証明しやすかったからである。
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