【家庭教ヒットマンりボーン】だって、かっこいいもん。
第1章 無頓着な姉
勢いよく扉を開けたのは、パン一の弟。
あぁ、京子ちゃんはあの姿で告白されたのか。なんとも不憫な。
ツナは、竹刀を構える持田へと猛突進していき
「だあぁ!」
頭突きをかました。
ゴンッと鈍い音を響かせ、持田はその場に崩れ落ちた。
「やるなぁー」
感心感心。
持田にまたがったツナは、右手を上げた。
ベリッとなんとも聞きたくない音が耳に残る。ツナが持田の髪をぶち抜いたのだ。
そんなこんなで、なんとか勝利をつかみとった弟を今日は誉めてあげよう。
頑張ったね。そう言いながら頭を撫でると、照れているのか嫌みは言うが、手を払いのけないのは嬉しいんだろう。
ひとり、くすりと笑う。
よかったね、ツナ。
「あ、柚希 ー!もしかしてこの結果も分かってたの?」
「んー、まぁ。私の弟はすごい子なんだぞー」
にははーと笑いながら、教室へと歩き出す。
楽しいことは、大いに結構。
授業のチャイムが鳴るなか、足取りは軽かった。
――
あれから、家に帰るとえらくご機嫌なツナがいた。
私に気づいたのか嬉しそうに近づいては今日のことを話してくれた。みてたんだけどね。
予定どうりに、頭を撫でてあげるとやっぱり嬉しそうに顔を綻ばせた。
「あ、リボーンのとこ行ってくるよ!」
「うん、気をつけて」
なんだか騒がしい一日でした。
夜、音楽を聞いていたとき部屋のドアが開いた。
どうやら小さなお客様らしい。
「どうしたの?リボーンくん」
「やめろ、くんなんて。柄じゃねぇだろ」
「ひどいな…」
そんな否定しなくたっていいのに。
「前みてぇに、呼び捨てでいいだろーが」
「…全然記憶にないのにねー」
リボーンのこと。
昔、この赤ちゃんがこんなにも小さくなる前に顔を合わせたことがある。
“死んだ”後に彼に会うのは今回が初めてだ。
といっても、顔を合わせたときの記憶は、あんまりないんだけど。
「…俺は、」
「いいんだよ。」
言葉を切るように言う。
この会話の意味なんて、二人にしかわからない。