第2章 音を立て増してゆく*及川【★】
「…と……る…もう……やめて…ここから…だして…」
涙が溢れ 硬いコンクリートの地面に滴る
「……何言ってるの名無し」
その顔からは笑が消えて 瞳がギラリ と光る
「わたし…わたしは…徹を愛してるよ?離れたりしないよ…なのに…」
どうしてこんな事を…と名無しは俯き檻に手を掛ける
「名無しは僕の恋人…でも少し躾が足りないみたいだからね…」
そう言って徹は檻の鍵を外し名無しを引きずり出し足枷を着ける
「徹…これイヤ…外して……」
手を伸ばすと及川の顔に指先が触れるか触れないかギリギリだった。
「名無しちゃん…ほら俺に触れてみてよ
君からキスしてくれたらご褒美あげるから」
「…と…おる……お願い外して…普通に触れさせて…」
「ははっ…名無しはそこまで俺の事愛してくれてるんだね」
嬉しいよ と私が完璧に触れられる場所まで近付いてきた
「徹……」
その欲しかった愛おしくて優しい温度に溶けながらキスをした
「うん 名無しちゃん 良く出来ました」
私の頭を掌で固定し動けなくした後 啄む様なキスの雨が降る。
「…名無しちゃん…愛してる…愛してるよ……」