【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第2章 1Fr!『舞い戻ったblue』
翌日になり、いつものように遙と真琴は学校へ行き、少し浮き足だった気持ちのまま昼休みを迎えた。
二人は弁当を片手に定番化してきた屋上へと足を運ぶ。
屋上に向かう階段を上がっていたところ、後ろから声がかかり振り向くと、にこにこと楽しそうに笑う渚の姿。
「やっほー!ハルちゃんっマコちゃんっ!お腹空いたねぇ~っもう、僕ぺっこぺこで潰れちゃいそう……」
「………うるさいぞ。渚」
「あははっ俺もお腹空いたよ。早く食べよ?」
「ぶーっ!ハルちゃん酷いぃっっ!!」
プンプンと怒った表情を見せていた渚だったが、何かを思いだしたのかすぐに楽しそうな表情に変わった。
「そうだっ!僕ねぇ、ちょっといい子見つけちゃったんだよねぇ~新入部員候補♪♪」
「えっ!水泳やってた奴とか?」
「じゃあ、イワトビちゃん用意しとくか………」
「や、ハル………?それ、逆効果かも…よ………?」
「?なぜだ?」
「………………ナンデモナイデス。」
「それはいいからっ!今は部員の話っ!ちょっと放課後みんなで見てほしいんだよねっお願いっ」
顔の前で両手を合わせてお願いのポーズを取る渚に、真琴と遙は一度顔を見合わせると、了承を伝えた。
_______放課後になり、お目当ての新入部員候補が所属している陸上部を覗いてきた一同は、プールへと戻り、掃除や補修の続きを始めた。
「いい感じでしょ~?竜ヶ崎くんっ」
「でも、入る気ないってすっぱり断ってたよねぇ……あはは」
困ったように笑う真琴、その横には一心不乱にヒビの入った壁面にパテを塗り込む遙の真剣な姿。
「えーっだって竜ヶ崎くんっ僕たちと同じ男だけど女みたいな名前だし、ぴったりだと思うんだけどなぁ……」
「えっ?!渚の判断基準って、そこっ?!」
「うんっだって何か運命感じない?ね?ハルちゃんもそう思うでしょ?」
「………別に。俺は泳ぎたいやつは泳げばいいと思う。」
「「ハル/ちゃん………」」
相変わらずな遙の言葉に、苦笑いを浮かべた二人だったが、部員不足という大きな課題の前に頭を悩ませていた。
そんな三人の側を吹き抜ける風。