【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第7章 6Fr!『それぞれのObsession!』
駆け寄り、きゅ、と夏樹の服を掴む渚。
そんな渚のふわふわとした髪を撫でる大きな掌。
辺りは人の気配はなく静まり返っているが、波の音だけが響き渡っていた。
「……それでもお前たちとは以前と変わらず一緒にいたいと思うのは俺のエゴだよな。………俺のわがままでお前たちを悲しませてごめん。………俺は海を選ぶけど、変わらずお前たちの傍にいたい。勝手だけど、目一杯甘えてほしい。」
夏樹の言葉に遙たちの心が震える。
何でいつもこの人は自分達の欲しい言葉を意図も簡単に発するのだろう。
遙たちにとって夏樹が"海"を選ぶということは、自分達との離別のように思えていたところがあったが、たった今柔らかな笑顔で自分達を見つめる男によって不安は潮風とともに離散していった。