【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第2章 1Fr!『舞い戻ったblue』
吹き付けた強さに顔をしかめた遙は、ふと向けた視線の先、プールの入り口に立つ一人の男に目を奪われた。
「……………………………夏兄……?」
遙の言葉に真琴と渚もプールの入り口に勢いよく顔を向けた。
そこに立つ長身の男____
僕らが求めて、求めて、求めて
ずっと手を伸ばしていたあの人が
"藤崎夏樹"が
そこにいた。
「…………よう。久しぶりだな?遙、真琴、渚。」
大好きな人との突然の再開に、呆然と立ち尽くしていた三人だったが、その表情はみるみるうちにキラキラと輝き始め、口許は弛んでいく。
そして、一斉に飛び出し
「うわぁーんっ!!!なっちゃん~~~~~~~っ!!!!!」
「…………夏兄っ!!」
「夏兄ーーーーーっ!!」
大好きな彼の元へと駆けていく。
その足で大地を蹴ると、徐々に近づくその距離に、いっそこの空間の全てが水の中だったら、速く泳いであの人の元に行けるのにって、そんなことまで考えてしまって。
やっと、
夢じゃなくても会えたんだって
そう思ったら嬉しくて、
嬉しくて
気がついたら三人の頬は瞳から零れた水で濡らされていた。
そんな僕たちを両手を広げ、あの時と変わらない大好きな笑顔で迎えてくれる夏樹。
"さぁ、手を伸ばしてっ!"
心の中にそんな声が聞こえた。
辿り着いたそこには、
確かに感じる暖かさと大好きな人の匂い。
飛び付いてきた三人をぎゅうと抱き締めながら夏樹は囁いた。
「…………ただいま。」