【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第7章 6Fr!『それぞれのObsession!』
あれから遙たちに合流した後も、何だか真琴の心はふわふわと浮いたままで、先程から渚と怜が話している声もどこか遠くに聞こえていた。
"………可愛いね。真琴……このまま俺が連れて帰っちゃおうかな。"
つい15分前に自分の耳元へと届けられた言葉が、薄れることなく頭の中を回っている。
言葉と共に耳に感じた夏樹の吐息の熱が今もじんじんと感触を残しているような錯覚を覚えていた。
「………///」
無意識に触れた自分の耳は、とても熱く。今、自分がとんでもなく情けない顔をしているのではないかと、不安になってしまう。
「……真琴?どうした……?」
心配そうに自分を見つめる遙。
その隣には目を細めて笑う夏樹の姿が視界に入り、思わず視線をそらしてしまった自分。
(あ……どうしよう。目、見れない……///)
「だ、大丈夫だよ。ちょっと疲れたみたい。」
動揺した心を隠すようにひきつってるであろう笑顔を張り付けながら、適当な理由をのべると、遙は少し黙った後にそうか、と答えた。
(ごめんね、ハル……俺きっと浮かれてるんだと思う。)
落ち着く気配すらない心臓は今も忙しく律動を続けている。真琴は無意識に自分の心臓の辺りを押さえながら、今も熱に浮かされたような表情で遙たちと歩いていた。
その様子を見ていた夏樹がくすり、と小さく笑う。
「………夏兄?」
不思議そうに見上げてくる遙に、柔らかな笑みを向けながら、その頭をポンポンと撫でる夏樹。
「いや、可愛いな、と思って。」
「…っ!」
夏樹の言葉に目を見開き頬を赤らめる遙だったが、その顔はすぐに地へと向いてしまう。
(本当に……真琴も遙も…渚たちも可愛くて仕方ない。)
夏樹は自分の両隣で顔を赤らめる二人にそっと手を伸ばす。
「っ!?」
「わ!?」
二人の肩を抱き寄せ、自分に密着させると前に歩く渚たちに聞こえぬよう小さく呟く。
「……好きだよ。遙も真琴も。」
「「___///!!」」
耳まで真っ赤に染めたまま固まる二人。そんな二人が可愛くて堪らない夏樹は嬉しそうに笑って。
ドキドキしながら歩く駐車場までの道。少しでも多く夏樹の隣でいられるようにと、遙と真琴は出来るだけゆっくり歩いていった。