【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第6章 5Fr!『熱くなるFeelings』
「………凛。アノ時俺がお前を抱いたのは……お前が精神的にボロボロになっていて見ていられなかったからだ。………でも、今は違うだろう?……遙たちと再会して気持ちがざわついてんだろうけど……逃げ場として俺を求めるのはダメだろう?……立ち向かうのが怖いなら、俺がいつでも傍にいてやるから………今は逃げるな。しっかりとその瞳で、前を見てろ。」
真琴の耳へと届いた夏樹の言葉は、その心とは裏腹に容赦なく脳内に響き渡っていった。
(今………… "抱いた"って…………。)
サーッ、と音が鳴るように全身の体温が下がった真琴は、立っているのもやっとな程足は震え、思わず壁に寄りかかるとそのままズルズルと床へとしゃがみこんでしまう。
そして無惨にも続けられる二人の会話。
「………わかってる……んなこと分かってる………けどっ!………今日アンタに会って………自分の気持ちが………止めらんなくて…!………逃げ場としてじゃなくて……俺にとって夏兄といることは力になるんだ。………だから……っ!」
「………くすっ……そんなに必死になってまで、俺が欲しいの?…………じゃあ、……お前がちゃんと遙たちと向き合えたら………"ご褒美"、あげようか。」
「………ご褒美……?」
「………そう。………だから、今は……これで我慢…………な?」
「………ん………///」
見えなくとも聞こえてくる二人の甘いやりとりに真琴は頭を抱えながら俯いていた。
そんな真琴の存在を知らない夏樹たち。
離れた二人の唇に未だに熱の余韻が残っている。
凛は好きで好きで堪らないという想いをぶつけるように自分を優しく包む夏樹の胸に頭を擦り付けた。
「…………夏兄…………好きだ……。」
「………うん。……俺も、好きだよ。…………でも、そろそろお前も戻んないとね。俺もあいつら待たせてるしさ。…………じゃ、またな……?」
「………あぁ。………また、すぐに会えるか……?」
「………もちろん。……だから、んな泣きそうな顔すんなって………離れられなくなんだろーが。」