【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第6章 5Fr!『熱くなるFeelings』
「遙?……どうした?」
柔らかな笑みで自分の顔を覗き込んできた夏樹の瞳と視線が重なり、同時に耳へと届いた低く甘い声は遙の胸を高鳴らせていく。
「…………夏兄……///」
ただ名前を呼んだだけなのに、全て自分の想いをわかってくれる夏樹。
愛しげに自分の頭を撫でながら、可愛いヤツ、と呟いた声すらも、堪らなく好きで、遙は胸がきゅうと苦しくなり、さらに夏樹の腕をぎゅうと強く抱きしめた。
「ああ~っ!!ハルちゃんばっかりズルイィ!僕だってなっちゃんにくっつきたいよぅ」
そう言い勢いよく飛びついてきた渚を優しく受け止めながら、夏樹は真琴の顔をちらり見ると、視線の先の真琴は、苦しそうな表情で自分に抱きつく渚と遙を見つめていて。
夏樹はそんな甘え下手な真琴の姿に、小さく息を吐き出すと、手を伸ばし真琴の髪を優しく撫でた。
「……真琴。お前も後で、な?」
「____えっ///!?あ、……は、はい///」
突然のことに驚いた真琴はしどろもどろになりつつ、やっとの思いで返事を返すものの、その顔はみるみる赤に染まっていく。真琴は自分の考えていたことが夏樹に気づかれていたことに、恥ずかしさを覚えるが、夏樹が自分を思っていてくれたことのほうがその何倍も嬉く思え、胸の鼓動を速めた。
(……やっぱり、夏兄には敵わないや…///でも、どうしよう……嬉しい///)
不安な気持ちに埋め尽くされていた心は、夏樹の一言で一瞬にして暖かいものでいっぱいになっていく。夏樹の優しさに触れれば触れるほど、強くなっていく夏樹への”好き”の想い。
油断すると溢れてしまいそうになるその熱い想いを胸に抱きながら、真琴は自分の口許が緩んでしまうのを止めることが出来ずにいた。
「藤崎さ―――んっ!!次、俺達の番ですよ――っ!」