【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第6章 5Fr!『熱くなるFeelings』
綺麗なフォームで飛び込んだはずの怜が、凄い音とともに水面へと叩きつけられ、沈んでいくのが見える。
事態の把握が出来ずにいた真琴と渚は唖然とした表情のまま動けずにいたが、横にいた遙がスッとプール際に行き、その勢いのままプールの中へと飛び込んでいく姿を見て、慌てて自分達もプール際へと駆け寄った。
大量の水を飲んでしまい咽こむ怜の体を遙よりも先に飛び込んでいた夏樹が支えていて。
怜自身、入水角度の計算までは完璧であったはずが、結果こうなってしまったことへの疑問と、泳げない醜態をさらしてしまったことへの恥ずかしさで、激しく動揺してしまうものの、支えられた体から伝わってくる夏樹の熱が、少しずつ自分を安心させていっていることに気づく。
「大丈夫か!?怜っ!」
心配そうに覗き込んできた夏樹の瞳と視線がぶつかる。
瞬間、ドキリと跳ねる心臓。
気がつくと溺れたことへの羞恥心などは吹っ飛んでしまい、心の中が彼のことでいっぱいになっていく。
「……夏樹…さん……///」
怜は少しだけ苦しいフリをして、そっと夏樹の体に自分の身を寄せる。
トクントクン、と伝わってくる鼓動は、心地よく、ずっと触れていたい気持ちにさせていく。
「____大丈夫か?」
まもなくして現れた遙の姿に、嬉しくもあったが、同時にこの時間が終わってしまうことを悟り、怜は少し残念な気持ちになった。