【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
「夏兄………///」
ドクンドクンと速さを増す拍動は、離れていても伝わってしまうかと思うほど全身を脈打たせている。
「……いつもの。忘れてたわ。」
ゆっくりと近づいてきた形の整った夏樹の唇。
思わず目をぎゅっと瞑った凛は、直後額に熱が触れたのを感じた。
幼い頃からいつも夏樹がしてくれていた挨拶でありおまじない___
当たり前のように自分にそれをしてくれることが心の底から嬉しくて、変わらず大事に思ってくれていることが嬉しくて、凛の視界が水気を帯び揺れる。
「____夏兄っ///!!」
ぎゅうと抱きついた身体は先程とは異なり服を纏っておらず、直に伝わる彼の熱にさらに凛は身体を熱くさせた。
(やっぱり…………俺はこの人が………好きだ……!)
壊れ物を扱うように抱き締め返してくれる夏樹の筋肉質な胸に顔を擦り付けながら、凛は溢れそうになる想いをかろうじて残っている理性で押さえ込んでいた。
頭を撫でる優しい手は、あの日の彼と変わらない。
それは、
ずっと、ずっと、凛が待っていた手だった。