【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
「…はは。すごい昔ですけどね…。一応そんな記録も以前頂きました。」
目を見開き、ふらふらとした足取りで近づいてくる御子柴にぎょっとする凛だったが、自分のすぐ隣にいる夏樹は全く動じずににこにこと笑顔を崩すことなく返答している。
「なっなっなんてこったっ!!!俺の憧れの選手が今っ目の前に居るだなんて!!!藤崎さんっっ!俺っ貴方のフリーを見てからあんな風に泳ぎたくて__「ちょ、ちょっと落ち着いてくださいっ部長っ!」……むっ!!何だ松岡邪魔をするなっ!」
すごい勢いで夏樹の目の前まで迫ってきた御子柴を寸でのところで凛が止めに入り、それをきっかけに他の鮫柄メンバーも加勢したことで、ようやく御子柴がトーンダウンした。
「はぁ…はぁ……ごほんっ!……取り乱してしまい、申し訳ありません。その……改めて今一度このプールで自分と泳いではもらえませんか?」
先程の頭に血の上った状態から、今は落ち着きを得た御子柴が真剣な表情で夏樹を見つめると、夏樹が弾けるような笑顔を見せ、大きく頷いた。
「もちろんです!………むしろ、部外者なのに、俺まで泳がせてもらえるなんて有り難いくらいですよ。」
一方の遙たちは呆気に取られた表情のまま、その一部始終を傍観していたが、夏樹が泳ぐという話が聞こえてくると皆一様に瞳をキラキラと輝かせた。
「…夏兄の………フリー……!」