【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
「ここが凛のいる鮫柄学園高校………!」
たどり着いた先の鮫柄学園高校は、名門私立というだけあって広く綺麗な校舎の造りになっており、岩鳶高校とは比べようもないほど立派だった。
遙たちは目的の屋内プールへと向かうべく、足早に敷地内を進む。
「広い校舎だね~!さっすが、名門私立校舎☆」
夏樹の腕にぺったりとくっつきながら周りをキョロキョロと見回す渚と、その反対隣で早くプールで泳ぎたいとソワソワする遙の姿。
「すげーなぁ。凛のやつ。水泳の名門校に通ってるなんて……頑張ってんだなー!」
ニコニコと楽しげな笑顔を見せながら両側張り付く二人に連れられて歩く夏樹。
やや後ろからその様子を見ていた真琴は、またしても自分が出遅れてしまったことに内心ため息を漏らす。
(……何でいつも、あの場所に行けないんだろう……)
視線の先には嬉しそうに夏樹に触れる渚と遙。
そして、同じように渚たちに羨ましげな視線を送っていた怜と江は、改めて自分が好意を抱く相手の人気ぶりを実感させられていた。
水泳部の使用している屋内プールへとたどり着いた一行は、逸る気持ちを抑えつつ、入り口の扉へ手を掛けた。
ガチャ____
「「おおぉ~~!!」」
「…………!」
目に飛び込んできた光景に目を輝かせる遙たち。
水泳名門校というだけあり、整ったプール設備に、自然と遙たちの表情が明るくなっていく。
大好きな水を目の前に、居ても立ってもいられずソワソワとしだす遙の頭を夏樹の大きな手がポンポンと撫でる。
見上げると目を細め、柔らかく微笑む夏樹がいて
その笑顔を視界に捉えた遙の心臓は鼓動を速めていく。
「もう少しだけ、……我慢、な?」
「……ん。」
頷くと、近づいてくる遙が大好きな笑顔。
チュ
額に落とされた熱はあっという間に離れてしまい、遙は再びその熱を求めて顔を見上げると、そっと耳元へと近づく夏樹の唇。
「………また、後でね?」
小さく囁かれた言葉によって、遙の頬が赤に染まっていく。