【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
「ちょっ!?ハルちゃんそれズルい~~~!!ダメダメっ!抜け駆け禁止ィっ!!僕だってなっちゃんの隣に座りたい~~!!」
「えっちょっ!!待ってよっ!ハルっ!!俺も………助手席座りたいっ!」
「遙先輩~~~!自分だけ抜け駆けは駄目ですよ~~~??……ここは正々堂々と、"ジャンケン"でいきましょう!!」
「…………………。」
遙は心の中で舌打ちをすると、小さく溜め息をついた。
考えることは皆同じ。
皆それぞれ少しでも多く愛しい夏樹の側に居たいのだ。
『ジャーンケーンポーーン!!!』
_______鮫柄高校に向かう夏樹の車の中は妙な空気が流れていた。
「……………あの。………」
その原因を作った男が口を開く。
一斉に向けられるじっとりとした目線。
「…………何か…………その、………すみません。」
「んー?謝ることないだろー?お前がジャンケンで勝ったんだし。………なぁ、怜?」
にこりと自分へ微笑みかける夏樹に、怜の胸がドギリと跳ねる。
(____っなっ///!?さ、さっきからこの人の笑顔を見ると………何か、胸が……落ち着かないっ///な、何なんだこの締め付けられるような、ざわざわするような………)
今まで体験したことのない感情に戸惑う怜。
初対面にも関わらず、至極当たり前に自分を受け入れてくれる夏樹の隣は酷く心地がよく、渚たちが甘えたくなるのもわかる気がしていた。
「………でも、……皆さんの目線が痛いです……」
ちらりと視線を向けると、相変わらずの優しい笑顔を向けてくれている夏樹と目が合い、直ぐ様熱を帯びる頬。
「ははっあいつら甘えん坊だからなぁ……。全く、可愛いよなぁ。本当。…………おーい。お前らいい加減にしろよー?怜、怖がらせんなよなー」