【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
(夏兄の匂い………)
「……ごめんね。こいつらのこと、待ってたんだ。お話は、もうお仕舞い、だよ?」
遙の耳元に響く夏樹の声。
ずっと聞きたかった声が脳内に響き渡り、遙の鼓動が命を吹き返したように騒ぎだす。
「夏兄っ!」
「なっちゃん~~~~!!会いたかったんだよ~~!!」
「夏樹さんっ!!」
「______///!?!?」
女の子逹が去っていくのと入れ換えに、真琴逹がそばへと駆け寄ってくる。
そして、それと同時に離された腕。
「よー!ちょっとでも早く来れてよかったよ。…………お前逹の顔、見たかったからさ。」
二人だけの甘い時間はあっという間に終わってしまい、遙は一人ため息を漏らす。
「う~~~~……… なっちゃん!!!ハルちゃんだけなんて、ずるい~~!僕もハグハグしてよぉ~!」
拗ねた表情の渚にニッコリ笑顔の夏樹が、両手を開く。
「………よーし!渚っ俺の胸に飛び込んでこいっ!」
目を輝かせる渚。
「いっくよ~~~~?!なっちゃんっ!!!」
残された真琴たちは皆一様に、羨ましい気持ちを抱いていた。
夏樹に強く抱き締められ、満足げに顔を刷り寄せる渚。
「なっちゃんっなっちゃんっ!だーい好き♡」
「んー。俺もっ渚大好きっ!」
ぎゅうぎゅうと抱き締め合う二人の間に伸びてきた2本の手。
「さぁ、渚。そろそろ行かないと鮫柄に迷惑かけちゃうしね。」
「さっさと行くぞ。……… 夏兄、助手席いいか?」
渚を夏樹から引き離すのに真琴が意識を取られている間に、遙は先手必勝と言わんばかりに、助手席の扉へと手をかけた。
____しかし、それは、直ぐ様他の3人によって阻止されてしまった。