【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
____そして、待ちに待った放課後。
遙たちは驚くべき速さで準備を済ませ、夏樹との待ち合わせの場所へ向かうべく足早に校へと向かっていた。
「早く早くぅ~~!もうなっちゃん待ってるかもしれないよ~??怜ちゃんも、もっと走って!」
「なっちょっと!葉月くんっ!?引っ張らないでください!」
徐々に近づいてきた校門には、人だかりが出来ていて、よく見るとその人だかりの殆どは女子であった。
沢山の女子に囲まれ、その中心に立つ長身の男は、離れてたところから見ても分かるほどの端正な顔立ちをしている。
「あれって………やっぱり…」
「おぉ!さっすが、なっちゃんっ♪」
「ひぇ~~夏樹さん、すごい囲まれちゃってるじゃないですか~!」
「ん?あの真ん中の人が皆さんの話している"夏樹さん"なんですか?」
突然の夏樹の登場に心踊らせた怜以外の4人だったが、自分達と夏樹との間には女の子たちによる分厚い壁が出来ていた。
「……………。」
「ねぇ、これ………どうやって突破する………?___って!ハルっ!?」
立ちはだかる壁を前にして作戦会議をしていた真琴逹の横を颯爽と駆け抜けていく遙。
真琴の声は遙には届かず、その体はあと少しで女の子の待つ分厚い壁に辿り着きそうになっている。
その時
遙の方へと伸ばされた長い腕。
視線の先の夏樹が周囲にいた女の子たちに笑顔で何かを言っている。
次の瞬間、開いた空間に遙が飛び込み、その手を取ると、そのまま引き寄せられる体。
気がついた頃には遙の体は自分より一回り大きな体に包まれていた。