【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第5章 4Fr!『戸惑いのheartbeat』
江の言葉に目を見開き、互いの顔を見合わせる3人。
「江ちゃんっ!すっごいよー!!お色気パワーで主将さんにOKもらったんだね☆」
「本当にっ!?やったね!ハルつ!プールで泳げるよ!」
「あぁ…………」
一見無表情な遙だがその目はキラキラと輝いていた。
「____ってことで、竜ヶ崎くんっ!お願いっ!!」
「………はぁ………。」
両手を併せお願いのポーズで迫り寄ってきた渚に怜の表情は困惑の色を見せる。
江が取り付けてきた鮫柄高校との合同練習は、男子部員を最低でも4人にすることが条件であった。
そのため遙たち4人は他の生徒たちに声をかけまくるが結果は虚しく、最終的には渚イチオシの怜に"今回だけ"という条件の元、再度お願いに来たのだった。
「………………わかりました。今回だけですよ…。」
遂に根負けしてしまった怜の前で、喜びを露にする4人。
「わぁい!!さっすが怜ちゃん!ありがとう~♪」
「本当にっ!?ありがとう!竜ヶ崎くんっ!」
「…………イワトビちゃんを…」
勢い余って怜に抱きつく渚。
その横で遙はいそいそとポケットからイワトビちゃんを取りだし、怜の前に突きだした。
「っちょ!?渚くんっ!?__ってゆうか、それいりませんからっ!!」
「え~~~~!普段なら1人1個までだけど、今なら特別に30個プレゼント中なのにぃ~~~」
「いりません!!」
いらない、と言われ少しショックを覚えた遙はイワトビちゃんを握りしめ俯き、その隣に立っていた真琴は困ったような笑顔で遙を慰めていた。
「あっ……………それと、僕は泳ぎませんから。」
「へ?あぁ、うん。わかったよ。」
頑なに言い切る怜に疑問を抱くものの、怜のお陰で合同練習に行けることになったのだ。
真琴が文句を言うはずがないわけで。
「これでハルちゃんもプールで泳げるし、凛ちゃんにも会えるね!」
無邪気に喜ぶ渚に遙の心は曇っていく。
(…………凛……)
そんな遙とは裏腹に嬉しさを全面に出した渚がひらめいたように手をポンと叩いた。