【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第4章 3Fr!『止められないimpulse』
しかし、"海"という言葉に若干の戸惑いを感じてしまった真琴の様子に気づいた夏樹が、そっと真琴の手の甲へと唇を当てる。
「………俺が側にいるから怖くないよ…ね?真琴。………お前たちにも見てほしいんだ。今まで見たことも感じたこともない景色を。」
「_____っ////うん……!」
「知りたい。……夏兄の見た景色を…!」
にっこりと微笑む夏樹。
三人の間に温かな空気が流れている。
夏樹がいるだけで、こうも食事や他愛のない会話も何もかもが全てキラキラと輝き、幸せな時間となっていく。
「遙っ、真琴っ!」
好きで好きでどうしようもない大切な人が、自分の名前を呼んでくれる。
それだけでこんなにも心が満たされていく。
三人は食事の後、交代でお風呂に入り、今は居間に布団を並べて敷き、夏樹を中心に川の字に並んで寝ていた。
疲れていたらしくあっという間に寝入ってしまった夏樹の腕にしがみつくように体を寄せる両端の二人。
「ふふ、何か不思議だね。昨日までは逢いたくても逢えなかった夏兄が目の前にいるなんてさ。」
遙は夏樹の肩に自分の鼻をくっ付けながら、真琴の話に耳を済ましていた。
「……そうだな。でも、…逢えて良かった。夏兄の匂いも熱も………すごく安心するんだ。」
遙の言葉に真琴は頷き、自らもそっと顔を寄せた。