【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第4章 3Fr!『止められないimpulse』
「何か手伝うことある~?」
キッチンに顔を出した真琴は、毎度目にする光景に小さくため息を漏らす。
その目線の先には皿に乗せられた
____鯖。
そんな真琴の様子に気づいた夏樹は、出来上がった料理の皿を片手に不思議そうに首を傾げた。
「お?真琴、んな冴えない顔してどうしたよ?」
夏樹の手から皿を受け取りながら、真琴は困ったような笑顔を向けている。
「あ~~………うん、また鯖かぁって思ってね。」
「えっ?また?遙、そんなに鯖ばっか食ってんの?」
振り向いた先の遙はというと、プイと顔を背けたまま黙り混んでいる。
ただ、その顔は真っ赤に染まっていて、夏樹は思わず笑みを溢す。
「…………。」
「ははっ!何だ遙………お前、めちゃくちゃ可愛いな。愛、感じるわー。」
カラカラと笑う夏樹とは対称的に黙り込んだままの遙は、そっと夏樹の服を掴み、ちらりと視線を送る。
夏樹はフッと笑うと、遙の頬にチュ、というリップ音とともにキスをした。
「可愛い子にはご褒美ってね。」
ニッと悪戯な笑顔を見せ、配膳準備に戻っていく夏樹。
その姿を見つめる遙と真琴だったが、二人の心中は、一方は熱く、もう一方は冷やかと正反対な様子となっていた。
その原因を作った男はというと、冷蔵庫の中身を覗き、中に鎮座していた鯖の多さに腹を抱えて笑っていた。
食卓を3人で囲むのは本当に久しぶりで、ただ食事を摂っているだけなはずが、真琴と遙にとっては堪らなく幸せな時間であった。
「でも、まさか夏兄がTVに出るとは思ってなかったよ。本当、ビックリしちゃった。ね?ハル?」
「あぁ……でも、夏兄の顔が見れて嬉しかった。」
「うんっ本当に嬉しかったなぁ。…俺たち、ずっと、ずっと夏兄に逢いたかったんだよ?」
二人の純粋な自分への気持ちに夏樹は心がじんわりと熱くなったのを感じた。
それと同時に溢れてくる二人への愛しい気持ち。