【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第4章 3Fr!『止められないimpulse』
とくん、とくん、と高鳴っていく遙の鼓動。
ずっと想い焦がれていた夏樹が、今こうして目の前にいることが本当に幸せで。
それでも少しでも多く彼に触れていたくてその筋肉質な胸に顔を擦り付ける。
「………可愛いヤツ。」
料理そっちのけで自分に甘える遙を、夏樹は壊れ物を扱うように抱き締めて、そのさらさらとした髪に鼻先を埋めた。
そんな甘い時間がいつまでも続くといい___
…………しかし、その二人の時間を引き裂く存在が一つ。
「……………あれ?ちょっ鯖、焦げてきてない!?」
遙は名残惜しそうに夏樹の体から離れると、焦げ始めている鯖へと視線を戻した。
「…………。」
遙が今この時ほど鯖を憎いと思ったのは、言うまでもないことだった