【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第4章 3Fr!『止められないimpulse』
止め処なく溢れる感情と涙。
夏樹は変わらない笑顔のまま頷いてくれる。
真琴は夏樹の服をぎゅうと掴み、昂ぶる感情に耐えていた。
「・・・俺も」
ぐい、と掴まれ反対を向かされた夏樹は、水気を帯び震える瞳とぶつかった。
「遙・・・___んっ!!」
重なる2人の唇。
すぐに離れた熱は、今も余韻を残している。
「夏兄が好きだ。」
「ははっ・・・おっとこ前だな。遙。思わずドキッとしちゃったじゃん。」
「・・・俺なんてずっとドキドキさせられてる。」
「そ?じゃあ・・・もっとさせちゃおうかな?・・・・・・なんてね。ねえ、遙、腹減ったよ。何か作ろう?」
2人の間に流れていた甘い空気は、夏樹の言葉によって終結を迎えた。
小さく息を吐き、待ってろ、と言って立ち上がりキッチンへと向かっていく遙。
しかし、先ほどまでの2人のやりとりを間近で見ていた真琴は、未だその衝撃から抜け出せずにいた。
「真琴。」
不意に呼ばれた自分の名前。
呼ぶ声の方に顔を向けると、近づいてくる夏樹の顔。
つぎの瞬間、唇に感じた柔らかな熱。
「____!?」
離れて覗き込んでくる夏樹の顔。
「口、開けてみ?」
呆然とし真っ白になった頭のまま、夏樹の指示通りに口を少しだけ開く。
「____んっ///!」
再び重なる熱。
だが、先ほどまでとは違い、開いた隙間からニュルリと入り込んでくる夏樹の熱い舌。
その熱は真琴の口内を這いまわり、真琴の熱に絡みあい、甘く溶けてしまうそうになる。
「・・・俺が欲しいなら、欲しいって言えよ。・・・ま、いらないんならいいけど・・・?」
意地悪そうに笑って見せる夏樹。
そんな言い方ズルイって思っても、悔しいほどにこの人が好きで、好きで。
真琴は涙をぼろぼろと零しながら縋り付くように目の前の体に抱きついた。
「欲しい……っ!夏兄が…欲しいんだ!!」
ふっ、と頭上で笑う夏樹を感じる。
見上げるとふわりと微笑む大好きな人の顔。