【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第4章 3Fr!『止められないimpulse』
遙の家に足を踏み入れた夏樹は、スゥ、と息を吸い込んだ。
その姿を不思議そうに見つめる遙と真琴。
それに気づいた夏樹はニコリと微笑む。
「いや・・・この家の中・・・遙の匂いがするなって、思ってさ。」
「____夏兄・・・っ!」
堪らなくなり抱きつく遙。
少し困ったように眉尻を下げ微笑みながら遙の頭を撫でる夏樹は、真琴に顔を向けた。
「子どもの頃は・・・よく3人でこの家に泊まったりしてたよな。・・・でも、あんま変わってねえな、遙の家。はははっ」
「うん。あの頃は・・・本当にいつも一緒だったもんね。」
「・・・これからも・・・」
そのまま止まってしまった遙の言葉に、二人が遙を見る。
遠慮がちに向けられた瞳は、揺れていて________
そこに映る一人の男。
「・・・・・・一緒にいればいい。」
思わず見合わせた真琴と夏樹。
その顔はすぐに弛み、零れそうな笑顔に変わる。
「そうだなっ!」
「っだね!」
無表情の遙だったが、その口許は少しだけ上がっていた。
夏樹はそんな遙の額にキスを落とすと、その背中をポンポンと優しく叩いた。
「__ほら、いつまでも玄関じゃなくて、家の中に上がろうぜ?」
居間へと辿り着いた三人はテーブルを囲み腰を下ろす。
夏樹はそのままごろりと畳の上に大の字に寝転んだ。
「あ~~・・・畳いいなぁ、畳。日本の心だぜっ!」
楽しげに天井を仰ぐ姿に真琴と遙は思わず笑顔になって
「くすくすっ夏兄はずっとアメリカに行ってたから、畳が懐かしいんだねぇ。」
「やっぱり、向こうにはないのか?」
「ん?ないない。フローリングか石だしな。硬いし、あんま床でごろごろする感じじゃねえだろ?だから、いいんだよ。畳。」
「そうだね。・・・でも、夏兄が床でごろごろって、イメージ無いかも?」
「あー?どんなイメージだ?それは。気持ち良いぞ?…よし、来い!真琴!」
自分が横になっている隣のスペースをトントンと叩きながら、笑顔を向けてくる夏樹に、真琴は顔を真っ赤にし動揺してしまう。