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【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。

第3章 2Fr!『慈しみのdistance』


「…なぁ。俺さ、今日帰ってきて分かったんだ。…お前達が俺を必要としてくれているように……俺も、遙…真琴…お前達が必要なんだって。だから…ずっと、俺の傍にいろよ。感じさせてくれよ…俺に…お前達を。」




ぽつりぽつりと夏樹の口から零れる言葉に、遙と真琴は胸をぎゅう、と強く掴まれた感覚を覚え、同時にどうしようもなく好きで堪らない目の前の男を抱きしめたい衝動に駆られた。







「_____夏兄っ!」







先に衝動に負けたのは、遙で、







「夏兄っ!いるっ…俺も、夏兄がいないと嫌だ。傍にいたいんだっ!」







続いて愛しい人へ飛び込む真琴。



そんな二人を離すまいと優しく受け止める夏樹。





「夏兄…俺、ずっと…ずっと会いたかったんだ。夏兄がいないのが、本当に苦しくて…辛くて……もう嫌だ。離れない。」




自分達を抱きしめる腕に力が籠もったのを感じる。
何も言わずとも三人には伝わるお互いを大事に思う気持ち。





夏樹はフっと笑みを漏らす。





「あぁ、やっぱり…お前達といると、心が満たされる。…でも、おかしいな…満たされたはずなのに……どうしよう、もっと欲しい。」





光を帯びた瞳に射抜かれ、熱くなる心と身体。
急に感じる心の乾き。









ねぇ、早く満たして欲しいんだ。







その甘い甘い愛で________








はやく、はやく









声に出せないもどかしさに、遙はその服をそっと引っ張り促す。





「…遙の家に帰ろうか。……ここは寒いしね。」





ふわりと笑うその姿は本当に格好良くて、ああもう何でこんなにも好きになってしまうんだろう、なんて思ってしまった遙と真琴。




抑えることすら難しくなりつつある自分達の熱い思いは彼にぶつけていいのだろうか。


自分ですら手を焼いてしまうこの熱を夏樹は受け入れてくれるのかな。






そんなこと考えていたら絡まる指先が強く握られて








”大丈夫、俺が全部受け止めるから”









そう伝える優しい瞳に愛しさが溢れた。
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