【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第3章 2Fr!『慈しみのdistance』
「これからは………また、会えるから。もう、寂しい思いはさせねーよ?」
「~~~~~~~なっちゃんっっっ///!!!」
夏樹にぎゅうと抱き締められ落ち着いたのか、渚は笑顔を見せ、帰っていった。
残された3人。
「ほい。」
差し出された手をもう離したくない。
「なあ…夏兄…。この後、どうするんだ?………帰るのか?」
不安げな表情で夏樹を見上げる遙は、繋いだ手に力を籠める。
_____そこに自分の想いも添えて。
「いや、明日休みだし、今日はこっち泊まってくよ。」
夏樹の言葉に遙が勢いよく顔をあげた。
その目は夕陽が当りキラキラと輝いていて、夏樹は、綺麗だな、と心の中で呟いた。
「だったらっ!………だったら………うちに泊まればいい……。」
「ん?いいのか?そんな突然行っても迷惑じゃ___」
「いや、うちの両親は転勤で、今は俺だけで住んでるんだ。……だからっ……!」
あまりに必死な遙の様子に夏樹はくすりと笑みを溢すと、愛しそうに見つめながら微笑んだ。
「じゃあ、甘えさせてもらうな?……あ、だったら、お前も来いよ。……真琴?」
くいっと繋いだ手を引き寄せると、真琴と夏樹の顔があと数センチというほど近づいた。
突然のことに心臓が壊れそうなほどドキドキする真琴。
その顔は見事に真っ赤に染まり、視線は定まらず泳いでいる。
「お、俺はいいけど………ハルはいいの?」
真琴は探るように遙を見るが、遙はプイと視線を逸らしてしまう。
「今さら、遠慮することもないだろう……勝手にしろ。」
「……………ハルっ…………ありがとう!」
真琴は眉尻を下げ、ふにゃり顔を緩めて笑う。
そんな二人の頭を撫でながら満足げに微笑む夏樹。
「あ、でも、遙ん家行く前に、真琴ん家寄るぞ?顔出す約束してるしな。」
「うんっきっと蘭たちも母さんも喜ぶよ。昨日TVで見たときも大騒ぎだったしね。」