【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第3章 2Fr!『慈しみのdistance』
しかもよく見ると彼の周りに部員たちが密集(一部密着)しているではないか。
「あっ天方先生っ!お疲れ様ですっ、あの………夏兄あっいや、夏樹さんは俺たちの幼馴染みなんですよ。それで、こっちに遊びに来てくれたみたいで………ね?夏兄?」
真琴がちらりと目線を送ると、それを受けた夏樹がニコリと笑う。
そして改めて天方の方へ体を向けると、爽やかな笑顔で挨拶をする。
「初めましてっ!こいつらの3つ上の藤崎夏樹です。突然お邪魔しちゃってすみませんっ」
(まままま、まさかっ、昨日のTVで一目惚れした生藤崎夏樹くんに会えるなんて~~~///!!!やっぱTVよりも実物のほうが何倍も格好いい///!!!!あぁ~もうだめかも///)
興奮がピークに達した天方は、ふらりと立ちくらみをしてしまった。
すると、直ぐ様抜群の跳躍力でプールの壁を飛び上がり、天方の側へ走っていく長身の男の姿。
「___大丈夫ですかっ!?」
駆け寄り汚れた手で触れないよう気を付けながら、腕を使って天方を支える夏樹に、天方は目を見開き硬直した。
「き、きゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁあ!!な、生夏樹様ぁぁあ/////」
そして次の瞬間、顔を真っ赤にし、すごい勢いで走り去ってしまった。
取り残された夏樹は支えていた格好のままと天方の去っていった先を呆然と見つめていたが、くるりと後ろを振りかえる。
「えっと………俺、何か不味いことした?」
「あー………多分、先生、夏兄のファンなんじゃないかな?生の夏兄とか言ってたしねぇ……ね?渚?」
状況が全くつかめない、といった表情の夏樹に、真琴が顔をひきつらせながら辿々しく返事をした。
振られた渚はびくりと体を跳ねさせると、ジトっとした目付きで真琴を睨んだ。
睨まれた真琴は、ははは、と乾いた笑いを見せる。
「えーーーーっと。うん、天ちゃん、きっと恥ずかしくって逃げちゃったんだと思うよ。あはは☆っだからぁ!なっちゃんはなぁーんにも悪くないんだよぉ?」