【Free! 】僕らの大好きなあの人は海のような人でした。
第3章 2Fr!『慈しみのdistance』
感動の再会を果たした遙たち4人は、再びプールの中へと移動し、修復作業に取り掛かっていた。
そこには夏樹もいて。
それだけで三人の心は満たされ、同時に嬉しく、楽しい気持ちでいっぱいだった。
「ねぇねぇっなっちゃんっ!こっち手伝ってよぉ~。」
「……いや、夏兄はまだこっちの作業に時間がかかる。」
「ちょっ!ハルっ夏兄にそんなことまでさせるの?!」
「ははっこんなんたいしたことねぇよ?これ終わったらそっちいくからいい子に待ってろよ?渚。…あと、真琴~んな顔すんなって。俺はお前達の力になれるなら何でもすっからさ!」
夏樹は遙とともに排水溝の掃除をしており、中には長年の汚れやごみがぎっしり詰まっていて、掃除をしている夏樹の手も汚れてしまっていた。
そんな姿を見た真琴はぎょっとし、止めにかかるものの、当の夏樹は汚れることなど全く気にした様子もなくニコニコと汚れをかきだしている。
待ってろ、と言われた渚だったが、辛抱堪らんといった様子で、排水溝に対峙する夏樹の背中に飛びついた。
背中への突然の衝撃に体勢をぐらつかせた夏樹だったが、背中に張り付いている渚を落とすまいと、踏ん張り元の形へと戻り、渚へ笑顔を向けた。
「こら、待ってろって言ったろ~?」
「えへへ~☆だってなっちゃんの近くにいたいんだもんっ」
気持ちに素直な渚の姿に、真琴は羨望の眼差しを向けていた。
(…渚、いいなぁ…。俺も…あんな風に甘えられたら…でも、俺みたいに図体でかいやつがそんなことしたら、だめ、だよな……)
沈んでいく気持ちに合わせる様に今の自分の立つ場所と、夏樹がいる場所の距離がとんでもなく遠く感じてしまい、思わず顔を俯いてしまう。
すると、耳に届く低く甘い夏樹の声。
「…真琴。渚の次は、お前な?」
バッと顔をあげると首を傾げ目を細めて笑う夏樹が自分を見ていて、真琴の心臓は跳ね上がった。
「~~~~~~っ///、はい……///」
真琴の返事を聞いて満足げに笑う夏樹は、再び排水溝との格闘へと戻る。