Destination Beside Precious
第6章 4.Wanna Monopolize Love
「は?」
それは本当に一瞬で気のせいにしか思えない程であったが、汐の瞳が絶対零度を見せた。
しかしもう一度目を凝らすとそれは消えていて、かわりに汐の温かい手が凛の頬を撫でた。
そしてそのまま汐の顔が近づいてきて、凛は思わず目を閉じる。
唇に柔らかい感触がした。
自分の唇の上でむにゅむにゅと溶ける汐の唇を味わっていると、汐はおもむろに凛の下唇を甘く噛んだ。
痛くはなかった。むしろ気持ちよかった。
だんだんと唇が開かれていき、汐の舌先が凛の舌を撫でる。
ゆっくりとお互いの舌を絡め合い、相手のすべてが欲しくなった頃、汐は唇を離した。
「こういう、えっちなちゅーするのも、したいって思うのも凛くんだけだよ。...ね、引かないでね?...あたし処女なの。穴兄弟なんて嘘。そんな噂話を凛くんは信じたの…?初めては凛くんがいい。凛くんじゃなきゃいや」
酸素が足りなくて潤んだ瞳でそう懇願する。
唇から洩れる吐息は浅く速い。
頬は上気していてしっとりと色づいていた。
その状態で見つめ合う。
汐の唇がわずかに動いた。それはいつもキスしてほしいときに出す合図のようなもので、ほんの少しだけ唇を突き出す動きを繰り返した。
気づいたら汐を組み伏せていた。
汐の手が凛の首の後ろにまわされた。
汐の腰と後頭部を支えて何度もキスを繰り返す。
ゆっくりとお互いの口の中を舌で舐め、相手の反応を楽しむ。
肺活量のない汐は途中で唇を離した。
凛の赤い瞳をじっと見つめがら汐は唇を動かした。
「凛くんは、あたしじゃダメ?あたしとえっちしたいって、抱きたいって思えない?」
切ない声でそう汐は凛に訊いた。
汐の家に泊まりに行った夜何もしなかったことを気にしているのだろうか、と凛は思うとたまらない気持ちになった。
「思うに決まってんだろ。何言ってんだ。本音を言えば今この場でも抱きたいくらいだっての」
はやる気持ちをなんとか静めて凛は先ほどの激しく情熱的なキスとは対照的に汐を優しく抱きしめた。
油断をしていると理性が飛びそうだ。