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Destination Beside Precious

第5章 3.Kiss? or More?



「...で、この間は凛がアンタの家に泊まりに来たんだって?」
ピアスホールにクリアピアスをさしながら璃保は汐に尋ねた。

「...ぷは、うん、そうだよ」
ペットボトルの水を飲みながら汐は答える。
飲み口に蓋をつけてペットボトルを置いた。


璃保や汐をはじめとする聖スピラノ高校の2年生は修学旅行でオーストラリアに来ていた。
今は1日目の日程を終え、ホテルでの自由時間になっている。
入浴を終えて髪を乾かして後は寝るだけになったふたりはベッドに身を投げた。

「聞かせてよ、汐の惚気話」
「惚気話?」

修学旅行の夜の恒例行事といっても過言ではない女子の恋愛トーク、いわゆる恋バナ。
2人部屋で、しかも付き合いのとても長い璃保と汐の1対1での恋バナ。一体どんな話が繰り広げられるだろうか。

「そ、お祭りデートからのお泊りでしょ?その話が聞きたい」
「その話ー?」
汐はつい先日のことを思い起こす。
思い出したらつい口元がにやけてしまうくらい楽しかった。
凛のいろいろな話が聞けて個人的にとても満足だった。

「あ、汐にやけてる。そんなによかったんだ」
「な...!にやけてないよ!」
つい口元がにやけてしまっていた。

「そうだなー、こないだの日曜だからまだ一昨日のことか。えっと...」
「あ、汐待って」
話し始めた汐を璃保は止めた。話の腰を折られた汐は口を噤む。
璃保は穏やかに笑いかけた。

「こっちきて」
そう言って璃保はベッドのシーツをぽんぽんと叩いた。
この部屋はセミダブルベッドが2つ設置されている。
璃保は少し端につめて汐が入るスペースを確保した。

「汐、アンタそっちじゃ遠いじゃない」
ベッドサイドに置かれたシェルフによって2つのベッドは隔たれていた。
璃保はなるべく近くで恋バナがしたいらしい。

お言葉に甘えて汐は璃保の横のスペースにお邪魔した。
「なんかいいね、こういうの」
「そうね、部活の合宿じゃありえないからね」

これまで部活の合宿等でこのようなツインルームのホテルを利用したことがあるが、こうやって1つのベッドに2人で入っておしゃべりをすることなど初めてだった。

「なんか璃保とだと居心地いいな」
「アタシも。汐居心地よすぎ」
お互い顔を見合わせて笑う。気心が知れていて一緒にいて楽だった。

「じゃ、話すね」
汐は璃保に先ほどの話の続きを始めた。
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