Destination Beside Precious
第5章 3.Kiss? or More?
ちょうどいい感じに焼けたマフィンをオーブントースターから取り出して汐のもとへ持っていった。
「あっ、タイミングちょうどいいー」
同じタイミングでベーコンエッグが出来たらしい。
こんがりと香ばしい匂いが凛の食欲を刺激する。
マフィンの上にカットしたサニーレタス、からしマヨネーズ、ベーコンエッグ、チーズの順にのせていく。
最後にマフィンをのせて完成だ。
「出来たよ」
付け合せのミニトマトと一緒に皿に盛り付けられる。
「凛くんこれ持って先にあっちのテーブルに行ってて」
凛は言われたとおりに出来たばかりの朝食をダイニングテーブルへ運び、先に席につく。
こんがりと焼かれたマフィンやベーコンエッグがとても美味しそうだ。
(汐、料理も出来たんだな...)
キッチンでお茶の用意をする汐を眺めながらぼんやりとそんなことを思う。
まじまじと見ていたわけではないが、かなり手際がよかった。汐の新たな一面を見つけた。
「凛くんお待たせ。食べよっか」
凛の前にお茶を置いた汐は席につき手を合わせた。
「そうだな、...いただきます」
汐に倣って凛も手を合わせた。
そして出来たてのベーコンエッグバーガーにかぶりついた。
「すげぇ、美味ぇ...」
思わず本音がこぼれてしまう。
驚いた。普通にお店などで出してもなんら遜色ないくらい美味しい。
ハーブソルトの風味がそうさせているのだろう。
凝った調味料を使うんだなと凛は感心する。
「ほんとに?ありがとう!」
やはり作った料理を美味しいと言われると嬉しいのか、汐は満面の笑みでお礼を言った。
そして幸せそうな表情で自分の食事にかぶりついた。
朝食を済ませゆっくりしていたところに汐は先ほど凛が準備していたコーヒーを持ってきた。
ソーサーとカップは白を基調としていて品がいい。
「汐、お前料理できたんだな」
「ん?うん」
砂糖とミルクを2こずつ入れたコーヒーを飲みながら汐は答えた。
「...なあ、次はいつ作ってくれるんだ?」
「え、」
思わず手を止めて凛を見た。
その視線とぶつかった瞬間凛は恥ずかしげにそらす。
「次は、肉とキムチを使った料理が食いたい...」
「...!またお泊まりに来たら作ってあげる!」
〝次〟の約束をした。リクエストももらった。
自分の手料理を大好きな人に認めてもらえて汐は笑顔になった。