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Destination Beside Precious

第5章 3.Kiss? or More?


凛が隣に横になると、汐は布団をかけた。

「あったかいね」
「だな」
掛布団に埋もれる汐が可愛くて凛の頬はゆるむ。
顔にかかった髪の毛を優しく払ってやった。

「凛くんのお話、ききたいな」
「俺の話か、...って言われても困るんだよな...」
「どうして?」
急になにか話せと言われると困るものだ。
帰国子女だから英語でなにか話してみて、という無茶振りを思い出す。

「ほら、急になにか話せって言われても困るだろ?それと同じだ」
「あー、まあそれもそうだね」
汐は納得したように笑った。
そしてなにか考え出した。

「そういえば今日は、ハルくんと真琴くんに会ったね」
「そうだな」
「初めて会ったけど、なんかそんな感じしなかったね」
「お前、あいつらの前で色々しゃべりすぎだっつの」
軽く叱る。
あのとき汐の言っていたことはすべてその通りだったのだが、いざそれを遙や真琴たちに知られるとなると恥ずかしい。

「そうかな?ハルくんも真琴くんもいい人だったし、あたしも仲良くなりたいな」
「あいつらならすぐ仲良くなれるぜ。それに渚と怜も」
彼らには今日会わなかったが、これまでの会話の中でよく凛が口にしていた。
きっと渚は汐に会ったら『凛ちゃんの彼女!?可愛い!』と言って喜ぶだろうな、と凛は思う。

「ふたりにも会ってみたいな」
「いずれちゃんと紹介してやるよ、〝俺の彼女〟ってな」
〝俺の彼女〟なんかいい響きだな、と汐は思った。
胸がくすぐったい。無意識に口元が緩む。

「なーにニヤニヤしてんだよっ」
「ニヤニヤなんてしてないよ」
「嘘つけ!それをニヤニヤと言わなかったらなんつーんだよっ!」
凛は汐の両頬を引っ張った。


「つか、俺の話、だろ?」
汐の頬から手を離しつつ凛は本題に入る。
自分の話、何を話せばいいだろうか。

「うーん、難しかったらオーストラリアの話でもいいよ」
「随分と飛んだな...」
「明後日からの修学旅行、オーストラリアだし」
「そうだったな。この際だからオーストラリアの話をするついでに、俺がオーストラリアで見たこと感じたことでも話すか」
オーストラリアであったことは話したが、それはまだ誰にも話していない。
凛は天井を見つめた。

「なにから話すかな...」
瞼を伏せれば、オーストラリアの景色や人々、空気などが思い出せる。
それらに思いを馳せつつ凛は話し始めた。
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