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Destination Beside Precious

第4章 2.Only You Are Seen


「凛も来てたんだ!」
「真琴…」
「俺もいる」
「ハル…。ってかお前らふたりセットじゃねぇほうが珍しいっての」
にこやかな笑顔を浮かべる真琴。無愛想な遙。その様子に対して対して眉を寄せる凛。
その様子を凛の陰から汐は面白そうに眺めていた。
それに気づいた真琴は汐にも声をかけた。

「あ、隣にいるのは汐ちゃん?」
「はい!って、どうしてあたしの名前…」
「凛からいろいろ聞いてるからね」
「おい真琴」
「えー凛くんあたしの話してくれてるの?うれしい。えっと、〝真琴〟くんですよね?」
凛の牽制を受け流しつつ真琴は肯定する。
そんな真琴を汐は見上げた。

「で、こっちがハル」
無口な遙を真琴が紹介。お決まりの流れだった。
当の遙は相変わらず無愛想なままだったが、一応真琴の紹介に合わせてどうもと一瞥をくれた。

「凛のこ…彼女か?」
恋人、と言いかけた。つい先日真琴に彼女と恋人の違いを教えてもらったばかりだ。

「そうだよ。わりーかよ」
汐の代わりに凛が答えた。
汐を自分の背に隠しつつ凛はふたりを軽く睨む。

「凛くんそんな睨んじゃだめだよー。〝ハル〟くんですよね?」
まるで侵入者を威嚇する犬のような凛をなだめつつ汐は遙に笑いかけた。
遙の中の〝凛の彼女〟のイメージとややズレがあったらしく遙は曖昧な返事を返した。

「凛くんからよくハルくんと真琴くんのお話聞いてます」
「へぇ、凛が?」
「俺たちの話を?」
「汐!余計なこと言ってんじゃねぇ」
嬉しそうに頬を緩める真琴と少し驚いた表情を浮かべる遙。
さっきから凛はつっこみに忙しそうだ。

「余計なことじゃないよ」
「余計なことだ!」
「凛くんね、ふたりのことすごく楽しそうに話すんです!ほんとにふたりのこと大好きなんだなーってあたしいつも思ってるんですよ」
「気持ち悪いこと言うんじゃねえよ!」
真っ赤になりながら汐にかみつく。
当の汐は全く気にした様子もなくいつも通りの柔らかな笑顔を浮かべていた。

「凛…俺たちのことそんな風に思っててくれたんだ」
「だな」
「だから!ちげえっての!」
「えー凛くん嘘ついちゃだめだよ」
「嘘なんてついてねぇ!」
しみじみする遙と真琴。噛みつく凛。ゆるい汐。
傍目から見れば、仲良し4人組。
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