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Destination Beside Precious

第4章 2.Only You Are Seen



「凛ありがとう!俺ひとりじゃここ来づらかったんだよね!」
「それで俺を道連れにやってきたっつーわけか」
チョコレートケーキを前にはしゃぐ真琴とコーヒーを前に眉を寄せる凛。
真琴の話によると、ここのカフェでやっているチョコレートケーキフェアにどうしても来たくて来たはいいものの女性客しかいなくて尻込みしてしまったらしい。
さらに1人でいると女性からの逆ナンパが激しくて困っていたらしい。

「ごめんね凛、無理やり付き合わせちゃって」
「いや別に無理にってわけじゃねえよ」
「ほんとに?」
「ああ。それより食いたかったんだろ?食えよ」
凛に促されて真琴はフォークを握った。
真琴の手の大きさに対してフォークが小さくて、それがアンバランスで可笑しい。
今の真琴に昔の真琴を重ね合わせる。

「真琴お前トレーニングしたら筋肉ついたな」
僧帽筋や、服の上からではわからないが広背筋も発達している。
甘いマスクとのギャップにやられる女子が多いだろうと、バレンタイン時期はチョコに困らないだろうと呑気なことを考える。

「それ同じ事前ハルに言われた」
「そうか。…ハルの奴は元気にしてるか?」
「うん!先週も一緒に全国ゆるキャラ市に行ったんだ」
先週真琴と遙が足を運んだ全国ゆるキャラ市。
岩鳶城のマスコットキャラクターのイワトビちゃんがいなかったことを遙は残念がっていた。
それでもメジャーマイナー問わず全国のゆるキャラが集まっていてイベントの終わり頃には遙の機嫌もすっかり良くなっていた。

「ハル好きだよな」
ゆるキャラ、と凛は笑いながらコーヒーのカップを傾けた。
つい数ヶ月前までなかったとても穏やかな笑顔だった。
凛雰囲気変わった、とチョコレートケーキを口に運びながら真琴は思った。


「…ごちそうさま」
真琴はフォークを置いた。
やはりカフェで食べるチョコレートケーキは格別だ。
チョコレートが濃厚で舌触りもよくとても美味しかった。

「よく食えるよな。そんな甘そうなの」
「美味しかったよ!」
「それはお前の顔をみればよくわかる」
呆れ半分感心半分で凛は真琴を見つめる。

「ねえ凛」
「ん?」
「俺さ、見ちゃったんだけど…」
「何を」
これは訊いてもいいことなのか、と真琴は一瞬躊躇ってしまう。
そんな真琴の心中を知らない凛は続きを促す。

「凛が、彼女?女の子と一緒に手を繋いでいるとこ」
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