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Destination Beside Precious

第14章 11.Boys and Girls


どうやら落ち度があったのは汐の方だった。
凛の濡れた鮫柄ジャージを乾燥機に入れた後脱衣場にタオルだけ用意して満足してしまい、肝心の着替えを置くのを忘れていた。

「ご、ごめん凛くん…けど!その格好で近寄らないで!」
「そんなストレートに言われると地味に傷つくからやめろ」
「後ろ向いてるからはやく着替えて!」
「はいはい」
そう言って汐はベッドに座ったまま後ろを向く。
すると、すぐ後ろから微かな衣擦れ音。ちゃんと言われた通りに着替えている。
未だに鼓動が速い。凛の身体はどんどん逞しくなってゆく。整った顔と精悍な肉体で、今では凛は女子たちの憧れの的である。


「ねぇ凛くん」
「ん?」
後ろを向いたまま問いかける。

「凛くんって、その、嫉妬したりするの…?」
以前璃保に言われた嫉妬心の話を思い出して、訊いてみた。
凛は言わないだけで嫉妬心メラメラ燃やしてそう、と璃保は憶測で話していたのだが実際はどうなのだろう。

衣擦れ音が止んだ。答えは返ってこない。代わりにベッドのスプリングがしなる。

「凛くん?聞い…」
最後まで言い終わらないうちに、凛に後ろから抱きしめられた。

「嫉妬?しないって言ったら嘘になるな。けど嫉妬してもしょうがねぇ。汐が男にモテるのを承知の上で俺はお前と付き合ってんだし。逆に自慢したくなるな、汐は俺の恋人だって。そういうお前はどうなんだ?」
「あたし?あたしも…ヤキモチやくよ。凛くん知らないかもしれないけど、凛くんと仲良くなりたいって思ってる女の子ってたくさんいるんだよ?女の子に人気なのは気にならないけど、凛くんはあたしの。他の女の子には絶対あげない」

そこまで言い切ると、今度は正面から抱きしめられた。
大丈夫、ちゃんと服を着ている。

「どうしたんだよ、珍しく強気だな」
「凛くん」
なんだか嬉しそうな凛。
ちゅーして、とおねだりするまでもなく、凛の唇が柔らかく汐の唇と溶け合った。
いやらしさを感じさせずに舌が絡まり、お互いを味わう。
ごく自然にベッドに組み伏せられ、じっと見つめ合う。
凛の濡れた髪が汐の頬に触れた。

「悪ぃ、髪乾かすの、後でいいか?」
「風邪ひかないでね?」
「ああ」
短い返事をした凛は汐の唇や頬、喉や首筋にキスを落としていく。指と素足が官能的に絡み合う。

大好きな人に心も身体も愛されて、汐はとても幸せで気持ちがよかった。
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