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Destination Beside Precious

第14章 11.Boys and Girls



『只今のレース、4コースを泳ぎました朝比奈さん、大会新記録です!』
アナウンスと共に場内は大いに沸いた。
他の選手を圧倒する泳ぎで見事1着にてゴールタッチを決めた璃保は勝気な笑みを浮かべて水面を叩いた。
女子100mバタフライに続き、200mでも優勝した璃保。
そんな璃保に汐は観客席から大きく手を振る。

「さすが璃保だねー」
「ほんと。敵無しって感じ」
さも当然と言うように彩と智予は口笛を吹く。

「ま、今日は市民大会だしうちらの部長様はこうじゃないとね」
「そーそー。あ、そーいえば今日はみーこのダーリンも出るんだよねっ!?」
プールを眺めていたふたりは汐に凛の話を振った。

凛も汐も1番身近な人以外には交際を内緒にしていた。
しかし鮫柄部員全員に知れ渡ったことを凛から打ち明けられ、ならば隠しておく必要も無くなったからつい最近チームメイトにも明かしたのだ。
どうして秘密にしてたのだと詰られると思いきや、反応は意外なものだったことが記憶に新しい。
あれ、今更?、だと思ったー!と笑い飛ばされて拍子抜けしてしまった。

「そう。凛くんも出るよ」
「市民大会じゃきっとぶっちぎりで1位だよね」
「試合終わったらふたりで写真撮ってあげるから連れておいでよ」
「ありがとう」
彩と智予も凛と汐の交際は大賛成らしく、彼女らなりに祝福と応援をしてくれている。


「さ、うちらもやったりますか!」
「そうだね。表彰台の1番上をスピラノで独占してやろ!」
先程の年相応の表情は消え、不敵な笑みを見せた。
一瞬で女子高生ではなくアスリートの顔になる。
圧倒的な練習量と女王スピラノのプライド、それが彼女らの強さと自信の所以だ。
長身に加えて長い手足を目一杯伸ばして身体を解すと、彩と智予は更衣室へ向かっていった。


日は過ぎること4月下旬。
スピラノ水泳部は市民大会に参加した。
県大会と比べると和やかな雰囲気の大会で、ジュニアの部と一般の部もある。
シーズン開幕に向けてコンディションとモチベーションを上げるためにスピラノは全員エントリー、鮫柄は2、3年の希望者だけらしい。
だから夏貴は今大会にはエントリーしていなかった。

汐はパンフレットに目を向ける。
女子200mバタフライの次は男子100m自由形。
次の種目は、遙と勝負だと言っていた。
汐は凛を応援すべく、プールを見つめて入場を待った。
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