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Destination Beside Precious

第13章 10-2.Don't Leave One Alone Ⅱ※


軽々と横抱きにされたかと思ったら次の瞬間にはベッドにいた。
こう意識がはっきりしている時に横抱きにされるのは初めてで戸惑いと恥ずかしさと嬉しさが全部混ざったことばに表し難い気持ちになった。

身を起こして凛を見つめていると、ギシ…とベッドの撓る音が耳に入る。
何度聞いても緊張してしまう、この音。

「汐」
組み敷いての初めのキスは頬に。
ちゅっ、と可愛い音が聞こえてきそうな甘いキス。
そこから唇へ、頬へのキスを果実のようと喩えるならばそれとは違う甘さの、濃厚な蜜のような、そんなキス。

この場以外の音も、光もすべて遮断して内に流れる恋心という名の奔流に身を任せる。


互いの浴衣が擦れる衣擦れの音と、絡まる舌が出すねっとりとした水音に汐の心臓が高鳴り始める。
凛の唇が喉に伝うと、反射的に肩を震わせてしまった。
その様子を見て凛は頬を緩めた。

「緊張してるか?」
こくん、と汐は小さく頷く。
恋人関係になってから3ヶ月経つ。その間に何回かこうして身体を重ねているはずなのに、服を脱がされる前は未だに緊張してしまうし恥ずかしい。

「ったく、相変わらずだなぁ」
そう言いながら凛は汐の浴衣の衿を緩めた。
もう一度喉に口づけをされたくすぐったさを感じた後、凛の唇はやわらかな胸の膨らみを吸い上げる。
内側から滲むような赤い痕が浮かび上がると、今度は首筋へ移す。

「や…っ!ぁん…」

人肌ほどの熱を持った舌で鎖骨から首筋まで舐め強く吸い上げられると思わず腰が浮く。
胸と首筋に痕を残した凛は満足げに指で首筋の噛み跡をなぞると、浴衣の上からまさぐるように汐の身体を愛撫しはじめる。
凛の中の男が見え始める。布越しに胸を揉みしだく手つきはいやらしく、重ねられる唇や絡められる舌には獰猛さが感じられる。

凛の手の中で形を変えるのは柔肉だけではない。
浴衣と下着と2枚の布を挟んでいるのに汐の胸の先端は、凛の手つきに反応していやらしく存在を主張しはじめる。
焦らされた布越しの快感では足らずに、汐の中の女が目を覚ます。
隔てるものが何も無い状態で触ってもらいたい、早く脱がせて、女の本能が快感を求める。

「直接さわって…」

一瞬惚けたような表情を浮かべた凛だったが、それはすぐに意地悪い笑みに変わった。

「随分と積極的だな。…そういう時はなんていうんだ?」

「凛くんお願い…。脱がせて?」
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