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Destination Beside Precious

第13章 10-2.Don't Leave One Alone Ⅱ※



食事を済ませたふたりは寝巻きとして用意された浴衣を持って離れにあるという部屋まで向かっていた。


本館から50mほど歩いたところにふたりの部屋はあった。
離れというのは本当で、桧皮葺屋根の平屋建てが一軒。
白砂が敷き詰められた庭の真ん中にある道を抜け、扉の前に立つ。
手の上で弄んでいた鍵で扉を開けた凛は汐を通す。

「…!すごく広いね…!」
「ふたりで泊まるには勿体ない広さだな」
玄関ホールの先に広がるのは洋室と和室。
品のいい畳の香が鼻腔をくすぐる。

畳が敷きつめられた部屋に荷物が運び込まれていた。
一通り部屋の設備を確認したふたりはベッドルームへ移動する。
ベッドルームは洋室で革張りのソファとテーブル、ひとりで寝るには大きすぎるベッドがふたつ。

「ベッドもふかふかー!」
ツインベッドの1つに身を投げた汐はごろんと寝返りを打って凛を見つめる。

「しーお」
「んー?」
寝転ぶ汐の傍らに腰を下ろして凛は頭を撫でる。
腕時計とパワーストーンのブレスレットを外してベッドサイドのチェストに置いた。

「風呂、また一緒に入ろうぜ」
「えーお風呂ー?」
無邪気にいたずらな笑顔を浮かべる汐。ふっと表情をゆるめて頬を染める。
凛の手を握り、呟いた。

「恥ずかしいよ…」

そうは言ったものの満更でも無さそうな汐。
凛はそのまま身をかがめて汐の唇に自分の唇を重ねる。
離した唇を汐の耳元へ持っていき囁く。

「なあ、汐と入りてえ。ひとりで入っても寂しいだろ?」
「女の子には準備ってものがあるんですぅー」
芝居がかった声を上げる汐の頬にキスをして意地悪く凛は微笑んだ。

「何の準備だ?汐チャン?」
「…もー、しょうがないなー。ひとりでお風呂に入れないなんて凛くんお子ちゃまだねー。いいよっ!一緒に入ろっ凛くん」
無邪気な笑顔を崩さす凛を茶化した。
抱き起こしてもらおうとして腕を伸ばして、凛くんだっこー、と甘える。

「誰がお子ちゃまだ。そういうお前こそ赤ちゃんだろ」
勢いよく汐の甘えを叶えてやり、そのまま隙間なく抱きしめる。

「ふたりとも赤ちゃんでいいんじゃない?」
「やだね」
お互い見つめあって同時に表情を崩してキスをした。

「お互い赤ちゃんじゃキスできねぇだろ」
「もう、そういう問題ー?」
部屋についた途端甘える恋人のことを可愛いと思いながらふたりはベッドから降りた。
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