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Destination Beside Precious

第11章 9.Love And Wrap That



「よう、真琴」
「凛!岩鳶なんかに来て、どうしたの?」
駅の入口に立つ凛に真琴は声をかけた。

「汐の家に行った帰りだ」
「そうだったんだ。いきなり呼び出すからなにかと思ったよ」
「悪ぃな」
いつも通りの凛だが、その表情にはどこか〝満たされた〟ものがある。
きっと汐と甘い時間を過ごしたのだろうと真琴は柄にもなく下世話なことを考えた。

「立ち話もなんだし、どっか入るか。こないだの礼、俺の奢りだ」
「そんな、全然いいのに」



ふたりは駅の近くの喫茶店に入った。
近況報告と軽い雑談をしながら注文した品を待った。


やがて店員がコーヒーとカフェラテを持ってくると、凛は本題に入った。

「こないだは悪かったな。いきなり電話して」
「気にしないで。汐ちゃんは大丈夫だった?」
「ああ。真琴が言ってたように、直接してもらいたいことを訊いたら汐嬉しそうにしてたぜ」
「そっか。よかった」
そう言って真琴はカフェラテのカップに口をつけた。
柔らかなミルクの風味が口に広がる。

「それで、汐のやつピルを飲むんだとよ」
「ピル…?って、避妊薬だよね?」
「ああ」

凛はことのいきさつを全て話した。
そして深いため息をつく。

「凛はどうするの?」
「俺はゴムは必要だと思う。…けど、汐は生でしたいみたいなことを言ってたから俺はどうすりゃいいんだ…!?」
とても喫茶店でするような話ではない。周囲の迷惑にならないようにふたりは声を潜める。

「そうだね。…けど、凛が言う通りゴムはつけた方がいいよ。これは俺なりの考えだけどね、1回生の快感を知っちゃうと後戻りできないよ、きっと」
「そうだよな…」
汐のことになると凛は普段からは想像が出来ないくらいにおとなしく話を聴く。
そんな凛に真琴は穏やかな笑顔を見せる。

「厭らしい意味はないって理解して話を聴いて欲しいんだけど、凛たちはふたりとも性欲が強いタイプだと思う。だから尚更生でするのは危険なんじゃないかな。ふたりの将来も考えて。凛はきっと汐ちゃんとの将来を考えてるだろ?」
「ああ。万が一、もし避妊に失敗したとき俺はまだ責任取れねぇし傷つくのは汐だ」
汐にも話したことだが、凛も汐もまだ高校生だ。ふたりにはそれぞれ未来がある。
一瞬の快楽を優先して、その未来に亀裂を入れてしまうようなことは絶対にあってはならない。
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