Destination Beside Precious
第9章 7.Life and non-Life ※
「凛くんだって、すごく硬くなってる…」
下着越しに太腿にあたる凛自身ははっきりとその形が分かるくらい硬くなっていた。
一瞬申し訳なさそうな表情をした凛は〝もう我慢の限界〟とでも言いたそうな瞳で唇を開いた。
「なぁ、挿れたい…」
セックスはひとりでするものではない。凛がいて、自分がある。
自分だけじゃなく凛にも気持ちよくなってもらいたい。
同じ体温を共有するように、快感をふたりで感じ合いたい。
率直に懇願された凛の欲に、汐は首を縦に振った。
汐の返事をもらうと、凛は一糸纏わぬ姿になって避妊具を手に取り封を切った。
先走りを光らせてその瞬間を今かと待ちわびる自分自身に対して、器用に膜を被せていく。
汐のことを愛し身体を重ねるということは、避妊がこれ以上になく大切なことだと凛は理解していた。
ゴムの中で窮屈そうに脈打つ自分自身を汐の蜜壷へあてがった。
「痛くない…?」
僅かに震える汐の声に凛は一瞬狼狽する。
「優しくするって約束したろ…?」
走る己の欲を諌めて、不安の氷を溶かすような温かな笑みを浮かべた。
頷く汐を慈しむように撫で、優しくキスする。
「汐、俺を見ろ」
怖がって力む身体が柔らかくなったのを感じた。
再び唇を交わし、濡れたローライドガーネットを見つめる。
「ん…っ」
痛くないように慎重に、汐の中に自分を押し込んだ。
薄い膜越しに感じる包み込まれるような汐自身の温もりに、凛は思わず声を洩らした。
根本まで隙間なく埋め込むと、やわく引き結ばれている汐の唇にキスをした。
「痛いか…?」
「痛くない…」
そのままの状態で凛は汐の身体を自分の内に閉じ込める。
汐の手が背中にゆき肌と肌が重なった瞬間、彼女の中にある自分も抱き締められた。
意とせずに、うっ、と声が出てしまう。
「凛くんも気持ちよくなって…?」
互いの肌や唇を感じあって幸福感に満たされた頃、汐は凛に言った。
そう言葉を紡ぐ唇にキスを落とし、凛はゆるく腰を動かし始める。
「ん…んん…はぁ…っ」
蜜壷を肉茎でゆるく掻き回されながら交わされる熱く深いキスの快感が汐の身体を巡る。
凛の唇が喉や首筋に触れると身体がびくりと反応してしまう。
初めての時に感じた痛みはない。あるのは、幸せの海に沈んでいくような気持ちよさだけ。
大きく広げた脚の間から、繋がっている部分がありありと見える。