Destination Beside Precious
第8章 6.Dye Your White ※
ぐっ、と質量をもったモノが狭い道を押し拡げて入ってくる感覚。
その瞬間、裂けるような強い痛みを感じた。
「いっ…!た…っあぁっ…」
「大丈夫か、?やめとくか…?」
きつく目を閉じてるから凛の顔は見れない。
上から降ってくる声に汐は必死に首を横に振った。
「無理す…」
「やめないで…」
涙混じりの眼を開くと、同じように眉根を寄せている凛の姿が飛び込んできた。
もう一度、小鳥がさえずるような大きさでやめないでと伝える。
じわじわと下腹部の奥の方を拡げられる感覚。
どこまで入ってくるのだろうと思うと、凛の背に回した手には自ずと力が入る。
「よく、頑張ったな…」
とても深いところでつながったと思う。根本まで挿入を許した膣はまだ少し痛む。
破瓜の痛みに耐えた汐の頭を撫でながら凛はそう言った。
「やっと、ひとつになれたね…」
「ずっと、こうなりたかった…」
ぱたり、頬にひとしずくの露が降ってくる。
そのしずくは汐の頬を伝い、ゆっくりとシーツに溶けていった。
凛がこぼした涙だった。
「もう、凛くん、泣かないで」
「痛かっただろ、ごめんな…」
「泣き虫凛くん。泣かないで…?謝らないで…?あたしは凛くんに初めてをあげれて嬉しいの…」
凛の背中をさすりながら汐は微笑む。
「汐、大好きだ。愛してる…」
つながったまま痛いくらい抱きしめられる。
乗っかってくる凛の身体は重いはずなのに、それさえ愛おしくて、また違った意味で苦しい。
好きが溢れる。やっとこうなれた。心も身体も凛のもの。
これが大好きな男に抱かれる女の喜びなのだろう。こんなに幸せな思いは初めてだ。
目を閉じれば今までの凛との日々が蘇る。
何も無い野原にぱっと咲く一輪の花のように、17年繰り返した日常に突如現れた存在。
初めて〝知りたい〟と思った男の子。
それからの日々は次々と蕾が綻んで花が咲くように、真っ白のキャンパスに色とりどりの絵の具でなにかを描くようなことの連続だった。
「あたしも…。あたしも凛くんのことが大好き…愛してる…」