Destination Beside Precious
第8章 6.Dye Your White ※
「…苦しいな」
眉間に皺でも寄っていたのだろう。
今更見栄を張る必要なんてないと判断した凛は素直に認めた。
苦悶にも似た表情に笑みを添えて汐は愛おしそうに凛の頭を撫でた。
「汐、もういいか…?」
「…、うん…」
泣きそうな汐の瞼にキスを落とすと凛は指を引き抜いた。
もう十分なくらい濡れているが、まだ男を受け入れたことのない膣は狭い。
これからすることは汐にとってかなりの痛みを伴うものだと考えると、少し不安だった。
「痛くてもいいよ…?あたしも、凛くんとひとつになりたい…」
一瞬だけ凛が心配そうな表情を浮かべたのを汐は見逃さなかった。
とろけるような愛撫やペッティングで緊張も解れてきた。
凛はこんなにも自分を愛おしんで、まるで硝子のように大切に扱ってくれている。
初体験が痛いのは承知の上。でもその痛みも凛とひとつになれるのなら耐えられる。
凛の唇にそっと自分の唇を押し当てた。
「なあ汐、俺のも触ってくれないか?」
凛はそう言って穿いていた下着を脱ぎ捨てた。
汐はゆっくりと身を起こして手を伸ばす。
おずおずと髪と同じ色の下生えの先にあるそれに触れた時、思わず小さく悲鳴を上げそうになった。
思春期を迎えて成熟した男性器を見るのは初めてだ。
想像していたものよりもずっと大きくて硬くて、言ってしまえばグロテスクだと思う。
「かたくて、おっきくて、あつくて…あたしびっくりした…」
勃ち上がって直接的すぎるその形に驚きはしたが、亀頭の先から出ている先走りでぬるぬると光るそれに、なんだか可愛いと思ってしまう自分もいた。
「驚かせてごめんな…、これが男なんだ」
汐に対して欲情して、苦しいくらいに熱を持って脈打っている。
これが男としての本能だ。抗えない。
汐のことが好きだ好きだと思えば思うほど身体は汐のことを欲する。汐の〝すべて〟を俺で満たしたい。
自分のモノに触れる手を絡めとり再びベッドに縫い付ける。
そのまま汐にキスをして凛はベッドサイドのチェストに手を伸ばした。
「少し、待っててくれ」
凛の手は先程置いた避妊具を掴むと封を切った。
女性の身体に優しい設計で潤滑剤が含まれたそれをするすると巻き下ろし自分自身に被せていく。
準備は出来た。お互いに、ずっとこうなりたかったんだ。
瞳と瞳がぶつかる。
その瞬間がやっと来た。