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Destination Beside Precious

第8章 6.Dye Your White ※


「身体、触ってもいいか…?」

まるで許しを乞うような言い方で囁かれる。
熱っぽい声に全身の神経を逆撫でされるような感覚に襲われる。
汐はこくりと頷いた。


凛の手が服越しに汐の胸の丸みに触れた。

「ひゃ…っ」
くすぐったさにぴくりと肩を震わせる。
汐の喉に首筋に鎖骨に凛はキスを落とす。
時折音を立てて強く吸われたかと思えば、羽毛が触れたのかと錯覚するような柔らかなキスを落とされる。

凛の手は胸に触れつつ、スカートに包まれた下肢へ伸びた。
服越しに脚を撫でながら、隙あらば汐にキスをする。
汐は凛の背に腕を回し、彼のぬくもりを味わった。

「お姫様みたいだな」
マキシドレスのネグリジェを纏った汐を見て凛が上からそう言った。

「凛くんはあたしの王子様になってくれる…?」
「ああ」
凛の両手が汐の頬を包む。これでもか、というほどの甘いキス。
頭の芯も身体の奥深くも蕩けてしまいそうな感覚に襲われる。
ぞわっとした。大きな幸福をはらんだ恐怖のような何かが背骨を抜けて全身を駆ける。
身体の中心の奥が小さく疼く。


「あたしも…凛くんに触りたい」

凛の表情が動いた。
次の瞬間凛はひどく官能的な笑みを浮かべて、着ていた服を脱ぎ捨てた。

露になるのは、硬さとしなやかさと兼ね備え鍛え上げられた肉体。

お腹の奥がまた疼いた。
凛の上半身の裸体を見るのは初めてではないが、合同練習などで見るのとは訳が違った。
あれは鮫柄水泳部の松岡凛。今目の前で自分を組み伏せているのは彼氏でありひとりの男の松岡凛。
〝凛に抱かれている〟ということを意識せざるを得ない。

「俺も、汐の身体にもっと触れたい」
すっ、と足首から太腿まで撫で上げられる。

「ひゃ…ぁん…」
思わず声が漏れた。
凛は汐の服の裾を掴むとゆっくり引き上げた。

「汐。腕、あげてくれ」
上体を起こし、凛に言われるがままに腕を上げる。
ゆっくりと服が捲られる。脱がされる。

全て脱がすと凛はそれをそっと床に放る。

凛の眼前には、下着姿の汐。
ブラジャーとショーツが一揃いで淡いピンク色、ところどころレースで飾られている。
下着から覗くのは今にもこぼれそうな柔肉と肉感の艶かしい素足。

その胸に、腹に、もっと深いところに触れたら汐はどんな表情を、反応を見せるだろうか。

逸る気持ちを抑えて、凛は汐にキスを落とした。
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