Destination Beside Precious
第8章 6.Dye Your White ※
「お待たせしました」
「おお!すげえ!美味そうだな」
今日の夕食。ご飯、油揚げと大根の味噌汁、豆腐のサラダ、サーモンのキムチカルパッチョ、焼き塩豚。
バランスのいい食事を心がけてる凛のことを考えて、栄養バランスが偏らず且つ一汁三菜であることを心がけて作った。
「食べよっか」
「だな」
いただきます、と手を合わせる。
自分の皿に箸をつける前に凛のことを見る。
凛のことを考えて作った、口に合うだろうか。
じっと見つめる視線に気づいた凛は顔を上げた。
「ん?どうしたんだ?」
「ね、凛くん。美味しい?」
「すげー美味い。お前やっぱ料理上手だな」
茶碗を持ちながら笑顔を浮かべる凛に、汐まで笑顔になる。
「嬉しい…!ありがと!」
その言葉を聞けて安心した汐はメインの豚バラ肉を口に運ぶ。
圧力鍋で仕上げたこともあって柔らかく出来ている。
塩の味も染み込んでいて昨夜仕込みをした甲斐があったと思う。
料理が好きだ。
それは〝食べてくれる人〟がいてこそだ。誰かの為に作る料理が好き。
それが汐が料理が好きな所以だった。
「なあ汐」
「ん?」
食べ終わって後片付けも終わってリビングでくつろいでる頃に凛は洩らした。
胡座をかいた凛の脚の上に乗る汐の肩に頭をあずけて後ろから汐をぎゅっと抱きしめた。
「飯、すげぇ美味かった」
「美味しそうに食べてくれてあたしも嬉しかったよ」
「…前俺が、次は肉とキムチを使った料理が食べたいって言ったの覚えててくれてさんきゅ。すげー嬉しかった」
「忘れるわけないよ」
お腹にまわされる腕にそっと触れて凛のぬくもりを味わう。
幸せ。
もし、もし将来凛と結婚したら毎日がこんな幸せに溢れているのかな、など遠い将来の甘い夢まで考えてしまう。
凛が大好きだ。今この瞬間が永遠になればいいのに。
「汐」
「ん?」
「俺のこと好きか?」
「うん。好きだよ」
「知ってる。俺は汐のこと大好き」
「じゃああたしは大大大好き」
汐は上を向いた。凛が上から顔をのぞきこんでくる。
少しだけ頭に角度をつけてそのまま凛とキス。
今日の凛はいつも以上に甘い。別の言い方をすればデレデレ。
普段なら絶対に言わないことも言ってくる。
しかしそれは自分にも言えることだ。普段よりも甘えてしまっている。
今日はお互い甘えて甘えられて、密な、蜜な時間を過ごしたい。