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Destination Beside Precious

第7章 5.Illuminate The Darkness


向けられた瞳には達観と諦観は見られなかった。

「そうか」
笑ってみせる汐に、同じように笑い返す。
汐の肩に手をやり、ぐっと引き寄せる。コートを着ていても相変わらず華奢な肩。込み上げるのは愛しさばかり。

「焦らなくていい。前に進もうとする思いが大事だ。汐は、汐のペースで前を向いて進んでいけ。辛くなったら俺がいる。…俺が側にいてやるから、な」

一緒に進んでいこう。

うん、と頷く汐に安堵の色が見えた。
手の震えは引いただろうか。もう一度手を握る。
氷のように熱をなくした手は人の温度を取り戻した。
そのことに凛は安心すると、控えめにこう切り出す。


「なあこれ、俺からのクリスマスプレゼント」
左手には、来た時からずっと持っていた紙袋。それを汐に差し出す。

「プレゼント?凛くんありがとう!」
それを受け取ると汐はとても嬉しそうにきゅっと目を細める。
やはり汐が喜ぶと自分まで嬉しい。汐の頭を優しく撫で、その髪を指で梳きながら凛は表情を柔らかくする。

「それ、今開けてくれないか…?」
凛の言葉に少しだけ驚きを見せた汐だが、すぐに納得したように紙袋の中身を確かめる。
本当に表情がころころ変わるからずっと見ていたいし一緒にいて飽きないと凛は汐を見つめながら思う。

大きめの黒い色無地の紙袋から取り出されたものは、白い紙袋。
白地にブルーでブランドロゴやマークが印刷されている。
目にしたブランド名に汐は一瞬だけ目を見開いて、さらにその袋の中身を確かめようと手を入れる。

透明なビニールに梱包されたそれを取り出すと、汐は眉を下げて凛を見上げた。

「え、凛くんこれ…」
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